上海市集団契約条例》(全文)

第一章  総則
一条
集団協議及び集団契約の締結、履行行為を規範化して、労働者の合法的権益を保護し、調和して安定した労働関係を構築して発展させる為、「中華人民共和国労働法」、「中華人民共和国労働契約法」及び「中華人民共和国労働組合法」等の法律、行政法規及び関連規定に基づき、本市の実情に合わせて、本条例を制定する。

第二条
本市行政区域内の企業及び従業員側が労働関係関連事項について集団協議の実施及び集団契約の締結、履行を行う場合、本条例を適用する。

第三条
本条例で称する集団協議とは、企業従業員側と企業とが労働関係関連事項について、平等に協議活動を実施する事を指す。本条例で称する集団契約とは、企業従業員側と企業とが労働関係関連事項について、集団協議を通じて締結する書面協議を指す。

第四条
企業と従業員側は集団協議体制を確立して、労働関係関連事項について集団協議を実施しなければならない。
企業従業員側と企業とが労働関係関連事項について集団協議の実施及び集団契約の締結、履行を行う場合、合法、公正、平等、相互尊重、誠実信用遵守、双方の合法的権益配慮の原則を守らなければならない。

第五条
市、区、県の人力資源社会保障行政管理部門(以下、人力資源社会保障部門と略す)は当該行政区域内の企業従業員側と企業との労働関係関連事項についての集団協議の実施及び集団契約の締結、履行に対して監督を実施する。

第二章 集団協議
第六条
企業従業員側と企業とは労働関係関連事項の集団協議を実施する場合、本条例が規定する手順に基づき各自の協議代表及び首席代表を選出しなければならない。協議代表の具体的人数は双方が協議して決定するが、各々の協議代表の人数は3名以上とし、企業側の協議代表は従業員側の協議代表の人数を上回ってはならない。

第七条
既に労働組合を設立している企業の場合、従業員側の協議代表は当該企業労働組合が選出派遣するが、女子従業員委員会を設置している場合、女性協議代表を選出しなければならない。首席代表は労働組合主要責任者が就任する。
労働組合を設立していない企業の場合、従業員側の協議代表は上級労働組合が指導して従業員の民主的推薦によるものとし、当該企業の半数以上の従業員の同意を得なければならず、首席代表は協議代表が民主的推薦を経て選出する。
企業側の協議代表は企業法定代表者が指名派遣し、首席代表は法定代表者又はその書面委託による者が就任する。
集団協議双方は実際の需要に基づき当該企業以外の専任人員を招聘雇用して当該当事者側の協議代表に就任させる事ができるが、その人数は当該当事者側協議代表人数の3分の1を超えてはならない。 集団協議双方は各自側の協議代表を交代させる事ができる。協議代表の交代は、本条例が規定する代表選出手順を遵守しなければならない。

第八条
協議代表が代表職責を履行する期限は、代表する側が決定するが、最長でも集団契約期間満了時迄とする。
集団協議が合意に達しないか又は集団契約を締結出来ない場合、協議代表の代表職責履行期間は協議代表就任日より6ヶ月間とする。

第九条
協議代表は以下の職責を履行する。
(1) 集団協議に参加する。
(2) 集団協議に関係する状況及び資料を収集する。
(3) 当事者側人員の意見を聴取して、当事者側人員の質問に回答する。
(4) 集団協議争議処理に参加する。
(5) その他履行すべき集団協議職責。

第十条
企業で選出された協議代表が、勤務時間内に集団協議に参加した場合、及び職責履行期限内において三営業日を超えない勤務時間を利用して、集団協議に関係する資料の収集等の活動に従事した場合は、正常な労働と見なして、給与及び各種福利には影響しない。 従業員側の協議代表の代表職責履行期間において、企業は正当な理由なく、その職場を変更する事は出来ない。

第十一条
協議代表は以下の義務を履行しなければならない。
(一) 企業の正常な生産、作業秩序の維持。
(二) 集団協議過程において知り得た企業の商業秘密の保持。
(三) 集団協議双方が約定した紀律の遵守、協議過程における外部に他言すべきでない情報を散布しない。

第十二条
企業が以下の従業員の切実な利益と直接関係する規則制度又は重大事項を制定、修正又は決定する場合、企業従業員側と集団協議を実施してから決定しなければならない。
(一)労働報酬
(二)勤務時間
(三)休憩・休暇
(四)労働安全衛生
(五)保険福利
(六)従業員研修
(七)労働紀律
(八)労働定量
(九)法律法規が規定するその他事項
企業は従業員の給与水準、給与調整システムについて、企業従業員側と集団協議を実施しなければならない。
企業従業員側は従業員の利益関連事項について、企業に集団協議を実施する事を要求する事ができる。

第十三条
賃金集団協議内容には一般に下記内容を含む:
(一)賃金分配制度、賃金基準、賃金分配形式、賃金支給方法。
(二)従業員年度平均賃金水準の調整幅
(三)賞与手当、補助金等の分配方法
(四)双方が協議するべきであると認めるその他の賃金に関連する事項。

第十四条
賃金集団協議の際には下記の要素を参考にすることができる。
(一)企業労働生産率・経済効率。
(二)企業前年度従業員賃金総額・平均賃金
(三)企業、及び業界人件費水準。
(四)全市、及び業界の平均賃金水準。
(五)企業賃金昇給ガイドライン・労働力市場賃金ガイド価格。
(六)最低賃金基準。
(七)都市住民消費価格指数。
(八)賃金集団協議に関連するその他の要素。

第十五条
集団協議双方のいずれか一方の当事者は相手方当事者に対して書面にて集団協議の実施を提案する事ができる。相手方当事者は集団協議提案書の受領日より 15日以内に書面にて回答しなければならず、集団協議を拒否する場合、正当な理由がなければならない。 集団協議のいずれか一方の当事者が以下の事項について相手方当事者に集団協議を提案する場合、相手方当事者は拒否又は引き伸ばしを行ってはならない。
(一)20人以上又は20人未満であるが企業従業員総数の10%以上の人員を削減する必要がある場合。
(二)労働争議により集団性操業停止、陳情が発生した場合。
(三)生産過程において重大な隠れた事故発生原因又は職業危害が存在する場合。

第十六条
既に労働組合を設立している企業の場合、労働組合が従業員を代表して企業側に集団協議を提案する。企業側が集団協議の展開を提案する場合、企業労働組合に対して提案する。 労働組合を設立していない企業の場合、上級労働組合が従業員より推薦された代表を指導して、企業側に集団協議を提案する。企業側が集団協議の展開を提案する場合、企業従業員に直接提案する事ができるが、上級労働組合に提案する事もできる。

第十七条
集団協議双方は正式協議前に以下の準備作業を実施しなければならない。
(一)双方が集団協議に同意した日より 15 日以内に協議代表を選出して、書面にて相手方当事者に告知する。
(二)集団協議の日時、場所を協議して決定する。
(三)今回の集団協議の議題に関係する状況及び資料を収集する。
(四)各関係分野の今回の集団協議に対する意見及び提案を聴取する。
(五)集団協議議題に関係する法律、法規及びその他関連規定を理解する。
(六)集団協議議題の解決案を起草する。
(七)その他準備が必要な作業。

第十八条
集団協議会議は協議双方の首席代表が共同で主宰する。協議議題を提出した側は議題の具体的内容及び解決案について説明をしなければならない。 集団協議会議は議事録を作成して、協議双方の首席代表が議事録に署名しなければならない。
協議双方は協議議題関連事項について、相手側に対して相応の資料の提供及び説明を要求する事が出来る。確かに企業の商業秘密に属する内容に関して、企業は協議に参与した代表と専門的秘密保持協議を締結することができる。

第十九条
上級労働組合は従業員側を指導して企業と集団協議を実施させなければならず、必要な場合、人員を派遣して従業員側と企業との集団協議活動を観察する、あるいは本条例第七条規定に基づき従業員側の協議代表の担当を引き受けることができる。

第二十条
企業の合併、分社、再編の場合、合併、分社、再編後の企業は集団契約の継続履行について、従業員側と集団協議しなければならない。協議合意の場合、元の集団契約は継続して履行する事ができる。協議が合意に達しない場合、企業と従業員側は労働関係関連事項について新たに集団協議を実施しなければならない。

第二十一条
集団協議実施期間において、企業及びその従業員は当該企業の正常な生産、作業秩序を維持しなければならず、生産、作業秩序又は社会の安定に影響を及ぼすいかなる行為も実施してはならない。
企業は下記の行為を実施してはならない。
(一)従業員側の協議代表者の身体の自由を制限する、あるいはこれに対する侮辱、威嚇、脅迫、暴力傷害行為。
(二)従業員が勤務場所に立ち入ることを拒否する、あるいは妨害する、生産器具あるいはその他労働条件の提供を拒否する。
(三)集団協議に必要である資料の提供を拒否する、あるいは虚偽の資料を提供する。
(四)その他集団協議を邪魔、妨害する行為。
従業員は下記の行為を実施してはならない。
(一)企業側の人員の身体の自由を制限する、あるいはこれに対する侮辱、威嚇、脅迫、暴力傷害行為。
(二)労働契約約定事項に違反し、労働任務を完成させない、あるいは各種方法により企業のその他従業員を業務職位から離れるように強制する。
(三)企業設備、器具等を破壊し、企業の正常な生産、作業秩序、社会の公共秩序を乱す行為。
(四)その他集団協議を邪魔、妨害する行為。

第三章 集団契約
第二十二条
集団契約締結を目的とする集団協議において、協議合意した場合、集団契約草案を作成しなければならず、協議双方の首席代表の署名後、草案の正式版として従業員代表大会又は全従業員討議に提出する。従業員側の協議代表は集団協議の情況及び集団契約草案の内容を従業員代表大会又は全従業員に対して説明しなければならない。
集団契約草案は全従業員代表の半数以上又は全従業員の半数以上の同意を経た後、決定する事ができる。

第二十三条
集団労働契約草案は従業員代表大会又は全従業員討議決定後、従業員側の首席代表が討議決定状況を企業側に書面にて告知する。企業は書面告知受領日より10日以内に集団契約を本市又は区、県の人力資源社会保障部門に届け出なければならない。 企業が集団契約を届出る場合、以下の資料を提出しなければならない。
(一)協議双方の首席代表が署名した集団契約書 。
(二)協議双方及びその代表の基本的状況。
(三)集団協議過程の情況説明。
(四)従業員代表大会又は全従業員による集団契約草案の討議決定情況報告。
人力資源社会保障部門が集団契約書の受領日より 15 日以内に異議を申し立てない場合、集団契約は即時発効する。

第二十四条
企業と従業員側は集団協議を通じて、給与調整システム、労働安全又は女子従業員権益保護等の専門項目内容について専門項目集団契約を締結する事ができる。

第二十五条
集団契約が約定する労働条件、労働報酬等の基準は国家及び本市人民政府が規定する最低基準を下回ってはならない。
企業と従業員個人が締結する労働契約に約定される労働条件及び労働報酬等の基準、又は企業規則制度が規定する労働条件及び労働報酬等の基準は集団契約の規定を下回ってはならない。

第四章 業界性集団契約及び区域性集団契約
第二十六条
区、県の建築業、飲食サービス業及びその他集団協議を実施する業界の労働組合は、代表を選出派遣して業界協会、あるいは企業が推薦する代表と集団協議を実施して、業界性集団契約を締結する事ができる。
街道(郷鎮)、工業園区等の中小企業が集中する区域内の労働組合は、代表を選出派遣して区域内の集団協議を実施する条件を備えない企業が選出派遣した代表と集団協議を実施して、区域性集団契約を締結することができる。

第二十七条
以下の当該業界従業員の切実な利益に関係する事項については、業界性集団協議を実施する事ができる。
(一)当該業界の最低給与基準。
(二)当該業界の給与調整最低幅。
(三)当該業界の同類職種の定量基準。
(四)当該業界の各種職種、職場の労働安全及び衛生基準。
(五)当該業界の各種職種、職場の従業員研修制度。
(六)その他業界性集団協議を実施する必要のある事項。

第二十八条
業界性集団契約草案は当該業界企業の法定代表者の承認を得なければならない。 業界性集団契約草案は、当該草案承認企業の全従業員代表の半数以上又は全従業員の半数以上の同意を得た後、決定する事ができる。

第二十九条
以下の当該区域従業員の切実な利益に関係する事項については、区域性集団協議を実施する事ができる。
(1)当該区域の最低給与基準。
(2)当該区域の給与調整最低幅。
(3)その他区域性集団協議を実施する必要のある事項。

第三十条
区域性集団契約草案は当該区域企業の法定代表者の承認を得なければならない。
区域性集団契約草案は、当該区域の従業員代表大会又は当該草案承認企業の全従業員代表の半数以上又は全従業員の半数以上の同意を得た後、決定する事ができる。

第三十一条
業界性、区域性集団契約は企業側代表又は労働組合が集団契約及びその関連材料を区、県の人力資源社会保障部門に届出る。
人力資源社会保障部門が集団契約書の受領日より 15 日以内に異議を申し立てない場合、集団契約は即時発効する。

第三十二条
法に則り締結された業界性、区域性集団契約は当該集団契約承認企業及びその従業員に対して拘束力があり、企業とその従業員が締結した集団契約及び労働契約に約定された労働条件、労働報酬等の基準は業界性、区域性集団契約に約定された基準を下回ってはならない。

第五章 争議の処理
第三十三条
本市は政府関係部門、労働組合、及び企業側の代表にて組織された労働関係三者調整システムを確立する。

第三十四条
従業員側又は企業側が正当な理由なくして一方の当事者の集団協議要求を拒絶するか又は引き伸ばす場合、又は双方が集団協議過程において合意出来ないか又は集団契約が締結出来ない場合、従業員側は上級労働組合に指導を要請することができ、企業側は企業の代表に指導を要請することができる。指導を経ても依然として合意できない場合、集団協議のいずれか一方の当事者は人力資源社会保障部門に対して調整処理を要請する事が出来る。集団協議双方が調整処理を要請していない場合であっても、人力資源社会保障部門が必要と認めた場合、調整処理を実施する事が出来る。
従業員側が指導を要請し、調整処理を実施する場合、労働組合が設立されていれば、労働組合が提出し、労働組合が設立されていなければ、従業員側の協議代表が提出する。
人力資源社会保障部門が集団協議争議の調整を行う場合、同級労働組合又は企業側代表が同席して共同で処理する事ができる。

第三十五条
人力資源社会保障部門が調整処理を行う場合、協議者双方が陳述する各自の意見を聴取し、協議者双方が提出する証拠材料に基づき、協議意見に対する分析を行い、関連規程に基づき調整処理意見を提出する。

第三十六条
企業が集団契約に違反して、従業員の労働権益を侵犯している場合、労働組合は法に則り企業の責任分担を要求する事ができる。集団契約履行により争議が発生した場合であって、協議解決が成立しない時、労働組合は法に則り仲裁申請、提訴する事ができる。

第六章 法的責任
第三十七条
本条例の規定に違反し、法律、行政法規に処理規定がある場合、関連法律、行政法規の規定を適用する。

第三十八条
本条例第十条第2項の規定に違反して、正当な理由なく従業員側協議代表の作業職場を調整した時、協議代表本人の要求を経て、企業はその元の作業職場に復帰させなければならない。

第三十九条
正当な理由なく、集団協議を拒否するか又は引き伸ばす企業に対して、市、区、県の総工会は改善意見書を提出し、企業に改正を要求することができる。
本条例第十五条第2項の規定に違反して、集団協議を拒否するか又は引き伸ばす場合、人力資源社会保障部門はその是正を命令しなければならない。
企業が改正を拒む場合、本市公共信用情報管理の関連規程に基づき処理する。

第四十条
企業、従業員が本条例第二十一条規定に違反し、治安管理行為違反を構成する場合、公安機関により法に基づいて処理する。犯罪を構成する場合、法に基づき刑事責任を追及する。
中華人民共和国労働契約法』第三十八条、第三十九条規定の状況に符合する場合、企業、従業員は共に法に基づき労働契約を解除することができる。

第七章 附則
第四十一条
企業分支機構が企業法定代表者の同意を得た後、当該分支機構の従業員と労働関係関連事項について、集団協議を実施する及び集団契約を締結、履行する場合、本条例に照らして実施する。
個人経済組織、民営非企業単位等の組織がそれらと労働関係を確立した当該単位の従業員と労働関係関連事項について集団協議を実施する及び集団契約を締結、履行する場合、本条例に照らして実施する。

第四十二条
本条例は2008年1月1日より実施する。

 

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