中華人民共和国労働契約法
(2007年6月29日
第10回全国人民代表大会常務委員会
第28回会議通過)
目録 (略)
第1章 総則
第1条 労働契約制度を整え、労働契約当事者の権利と義務を明らかにするとともに、労働者の合法的な権益を保護し、調和と安定が取れた労働関係を結び、発展させていくために本法律を制定する。

第2条 中華人民共和国の国内にある企業、個人経営の経済組織、民間の非企業事業所などの組織(以下雇用主と称する)と労働者が労働関係を結び、労働契約を締結、履行、変更、解除または終了する場合、本法を適用する。
国家機関、事業単位、社会団体と労働契約を結んだ労働者が、労働契約を締結、履行、変更、解除または終了する場合、本法律に基づき扱う。

第3条 労働契約の締結は、合法、公平、平等で自発的な意思、交渉による一致、誠実信用の原則によらなければならない。
法律に基づいて締結した労働契約は拘束力を持ち、雇用主と労働者は労働契約に定めた義務を履行しなければならない。

第4条 雇用主は法律に基づき労働に関する規定、制度を構築、整備し、労働者が享受する労働権利を保障し、労働義務を履行しなければならない。
雇用主は労働報酬、勤務時間、休憩休暇、労働安全衛生、保険福利、職業訓練、労働規律、業務量管理など労働者の直接の利益にかかわる規定や制度、重大事項を制定、改正、決定する場合、従業員代表大会または従業員全員との協議を行い、計画や意見を提示し、労働組合または従業員代表との平等な交渉を通じ確定しなければならない。
規定、制度や重大事項の決定、実施過程で、労働組合または従業員が不適当と認めた事項については、雇用主に対し、交渉を通じた修正、改善を求める権利を有する。
雇用主は労働者の直接利益に関わる規定、制度や重大事項の決定を公示、または労働者に告知しなければならない。

第5条 県級以上の人民政府労働行政部門は、労働組合、企業の代表と労働関係を健全に調整する三者体制を構築し、労働関係に関する重大問題を共同で検討、解決しなければならない。

第6条 労働組合は労働者が法律に基づき労働契約を締結、履行することを支援、指導するとともに、雇用主と団体交渉体制を構築し、労働者の合法的利益を守らなければならない。

第2章 労働契約の締結
第7条 雇用主は採用日から労働者と労働関係を結ぶ。雇用主は従業員名簿を作成し、検査に備えなければならない。

第8条 雇用主が労働者を募集採用する場合、労働者に対し、業務内容、労働条件、勤務場所、勤務上の危険、生産の安全に関する状況、労働報酬、労働者が求めるその他事項について事実通りに告知しなければならない。雇用主は労働者の労働契約と直接関連する基本事項について知る権利を有し、労働者は事実通りに説明しなければならない。

第9条 雇用主が労働者を募集採用する場合、労働者の居民身分証やその他証明書を預かったり、労働者に担保差し入れを求めたり、労働者からその他の名目で財物を受け取ってはならない。

第10条 労働関係の締結は、書面による労働契約によらなければならない。
既に労働関係が成立しているが、書面による労働契約を結んでいない場合は、採用日から1カ月以内に書面による労働契約を結ばなければならない。
雇用主と労働者が採用前に労働契約を結んだ場合、労働関係は採用日に成立する。

第11条 雇用主が採用時に書面による労働契約を同時に結んでおらず、労働者の労働報酬が不明確な場合、新規採用者の労働報酬は団体協約の基準を適用する。団体協約がなかったり、団体協約に規定がない場合は、同種の労働に同一賃金を適用する。

第12条 労働契約は期限付き、無期限、一定の業務完了を期限とするものに分類する。

第13条 期限付き労働契約とは、雇用主と労働者が契約終了時期を定めた労働契約を指す。
雇用主は労働者との交渉による合意に基づき、期限付き労働契約を結ぶことができる。

第14条 無期限労働契約とは、雇用主と労働者が契約終了時期を定めない労働契約を指す。
雇用主は労働者との交渉による合意に基づき、無期限労働契約を結ぶことができる。以下に掲げる状況に該当し、労働者が労働契約の延長を求めるか、同意して労働契約を結ぶ場合、労働者が期限付き労働契約の締結を求めた場合を除き、無期限労働契約を結ばなければならない。
(1)労働者の勤続期間が満10年となったとき
(2)雇用主が初めて労働契約制度を実施した時点、または国有企業改革により改めて労働契約を結んだ時点で、労働者の勤続期間が満10年を迎えており、且つ法律に定める定年まで10年に満たないとき
(3)2回連続で期限付き労働契約を結び、かつ労働者が本法律の第39条、第40条1項、2項に定める状況に該当せず、労働契約を延長するとき
雇用主が採用日から1年以内に労働者と書面による労働契約を結ばない場合、雇用主は労働者と無期限労働契約を結んだものと見なす。

第15条 一定の業務完了を期限とする労働契約とは、雇用主と労働者がある業務の完了を契約終了条件とする労働契約である。
雇用主は労働者との交渉による合意に基づき、一定の業務完了を期限とする労働契約を結ぶことができる。

第16条 労働契約は雇用主と労働者が交渉で合意し、雇用主と労働者が労働契約の書面上に署名するか捺印することで効力を持つ。
労働契約は雇用主と労働者がそれぞれ本文1部を保管する。

第17条 労働契約は以下に掲げる条項を備えなければならない。
(1)雇用主の名称、住所、法定代表者または主な責任者
(2)労働者の氏名、住所、居民身分証番号またはその他有効な身分証の番号
(3)労働契約の期限
(4)業務内容と勤務場所
(5)労働時間と休憩休暇
(6)労働報酬
(7)社会保険
(8)労働保護、労働条件、職業上の危険防護
(9) 法律、行政法規が定めるその他記載が必要な事項
労働契約ではこれら必須条項以外に、雇用主と労働者が試用期間、訓練、秘密保持、追加の保険、福利待遇などその他の事項を定めることができる。

第18条 労働契約に定めた労働報酬と労働条件などが不明確で、争議が生じた場合は、雇用主は労働者と再交渉できる。交渉が不調の場合は、団体協約の規定を適用する。団体協約が存在しないか、または団体協約に労働報酬に関する規定がない場合は、同種の労働に対し同一賃金を適用する。団体協約が存在しないか、または団体協約に労働条件になどの基準に関する規定がない場合は、国家の関連規定を適用する。

第19条 労働契約の期限が3カ月以上1年未満の場合、試用期間は1カ月を超えてはならない。労働契約の期限が1年以上3年未満の場合、試用期間は2カ月を超えてはならない。3年以上の期限付き労働契約または無期限労働契約の場合、試用期間は6カ月を超えてはならない。
同一雇用主が同一労働者に適用できる試用期間は1回に限る。
一定の業務完了を期限とする労働契約または労働契約の期限が3カ月未満の場合は、試用期間を設けることができない。
試用期間は労働契約の期限に含まれる。試用期間のみについて定める労働契約では試用期間は成立せず、その期限が労働契約期限となる。

第20条 労働者の試用期間における賃金は同一職場の同等職位における最低俸給または労働契約に定める賃金の80%を下回ってはならず、かつ事業所所在地の最低給与基準を下回ってはならない。

第21条 試用期間中は、労働者が本法律第39条、第40条1項、2項に定める状況に該当する場合以外は、労働契約を解除してはならない。雇用主が試用期間内に労働契約を解除する場合には、労働者に対し理由を説明しなければならない。

第22条 雇用主が労働者に訓練費用を提供し、専門的な技術研修を受けさせた場合は、労働者の合意を得て一定期間の勤務を求めることができる。
労働者が定められた勤務期間に違反した場合には、定めに従い雇用主に違約金を支払わなければならない。違約金は未履行の勤務期間で按分した訓練費用を超えてはならない。
雇用主と労働者が一定の勤務期間を定めた場合でも、勤務期間における正常な賃金調整による昇給に影響を与えない。

第23条 雇用主と労働者は労働契約に雇用主の商業上の秘密や知的財産権に関係する秘密事項の保持について定めることができる。
守秘義務を負った労働者に対し、雇用主は労働契約または秘密保持協定に労働者の競業制限条項を定めることができる。また、労働契約の解除または終了後、競業制限期間内は労働者に毎月経済補償を支払うものとする。労働者が競業制限に違反した場合は、定めに従い雇用主に違約金を支払わなければならない。

第24条 競業制限の対象は、高級管理職、高級技術職とその他守秘義務を負った者に限る。競業制限の範囲、地域、期限は雇用主と労働者の定めによる。競業制限に関する定めは法律、法規の規定に違反してはならない。
労働契約の終了または解除後、本条に定める者が同種製品を生産または同種の業務に従事するなど競合関係にある他の雇用主の下で就業する場合や、労働者本人が雇用主と競合する同種の製品の生産や業務の経営を行う場合、競業制限の期限は2年を超えてはならない。

第25条 本法律第22条、第23条に定める状況以外で、雇用者は労働者に違約金支払いを求める契約を結んではならない。

第26条 以下の事由に該当する場合、労働契約は無効、または部分的に無効とする。
(1)雇用主が詐欺、脅迫の手段または他人の困窮に乗じるなどして、相手方の意思に反して労働契約を結んだ場合、または労働契約を変更した場合
(2)雇用主が自己の法的責任を免れたり、労働者の権利を排除した場合
(3)法律、行政法規の強制力を伴う規定に違反した場合
労働契約の無効または部分的無効をめぐる争いがある場合は、労働争議仲裁機関または人民法院が確認を行う。

第27条 労働契約が部分的に無効であっても、その他部分の効力に影響はなく、依然有効と見なす。

第28条 労働契約の無効が確認された場合、労働者が既に行った労働に対し、雇用主は労働者に報酬を支払わなくてはならない。報酬額は同等またはそれに近い職位にある労働者の報酬を参考にして確定する。

第3章 労働契約の履行と変更
第29条 雇用主と労働者は労働契約の定めに従い、各自の義務を全面的に履行しなければならない。

第30条 雇用主は労働契約の定めと国家規定に従い、労働者に遅滞なく満額の労働報酬を支払わなければならない。
雇用主が労働報酬を支払わなかったり、全額を支払わない場合、労働者は地元の人民法院に対し支払い命令を申請することができる。人民法院は法律に従い支払い命令を下す。

第31条 雇用主は業務量基準を厳格に運用し、強要または強要に該当し得るその他の手段で労働者に時間外労働をさせてはならない。雇用主が時間外労働をさせる場合は、国家の関連規定に従い時間外勤務手当を支給しなければならない。

第32条 労働者が職場の規定や制度に違反した管理職の指揮や危険作業の命令を拒否しても労働契約に違反したとはみなされない。
労働者は生命の安全や身体の健康に危害を及ぼす労働条件について、雇用主に苦情を述べたり、通報、告発を行う権利を有する。

第33条 雇用主の名称、法定代理人、主な責任者、投資人などに変更があっても、労働契約の履行に影響を与えない。

第34条 雇用主が合併または分割された場合、既存の労働契約は引き続き有効で、その権利義務を継承する雇用主が継続して履行する。

第35条 雇用主と労働者は交渉による合意を経て、労働契約に定めた内容を変更することができる。労働契約の変更は書面によらなければならない。
変更後の労働契約は雇用主と労働者が本文各1部を保管する。

第4章 労働契約の解除と終了
第36条 雇用主と労働者は交渉で合意すれば、労働契約を解除できる。

第37条 労働者は30日前に書面で雇用主に通知すれば、労働契約を解除できる。試用期間内は3日前に通知すれば、労働契約を解除できる。

第38条 雇用主が以下の事由に該当する場合、労働者は雇用契約を解除できる。
(1)労働契約に定められた労働保護または労働条件が提供されないとき
(2)しかるべき時期に満額の労働報酬を支払わないとき
(3)労働者のために社会保険費を納付しないとき
(4)雇用主の規定、制度が法律、行政法規に違反し、労働者の権益を損ねたとき
(5)本法律第26条1款に規定する状況により労働契約が無効となるとき
(6)法律、行政法規が労働契約解除が可能と定めるその他の状況
雇用主が暴力や脅迫、不法に人身の事由を制限するなどの手段で労働者に労働を強要した場合、また雇用主が規定に反する指揮を行ったり、危険な作業を強制し労働者の人身の安全に危害が及ぼした場合、労働者は雇用主に通知することなく、直ちに労働契約を解除できる。

第39条 労働者が以下の事由に該当する場合、雇用主は雇用契約を解除できる。
(1)試用期間採用条件を満たさないことが証明されたとき
(2)雇用主の規定や制度に著しく違反したとき
(3)著しい職務怠慢、横領や不正があったり、雇用主に重大な損害を与えたとき
(4)労働者が他の雇用主と同時に労働関係を結び、業務遂行に重大な影響が生じ、雇用主の改善要求に応じなかった場合
(5)本法律第26条1款1項に定める状況で労働契約が無効となるとき
(6)法律に基づき、刑事責任を追及されたとき

第40条 以下の事由に該当する場合、雇用主は30日前に書面形式で労働者本人に通知するか、1カ月分の賃金を支給すれば、労働契約を解除できる。
(1)労働者が疾病か就業中以外の負傷で、規定の治療期間満了後も従来の業務に復帰できず、かつ雇用主が別途割り当てた業務にも従事できないとき
(2)労働者に業務を遂行する能力がなく、研修や職場変更後も依然として業務を遂行できないとき
(3)労働契約を結んだ当時の客観的な状況に重大な変化が生じ、労働契約の履行が不可能となった場合で、雇用主と労働者が交渉を通じ、労働契約の内容変更に合意できなかったとき

第41条 以下に掲げる状況に該当し、20人以上の人員削減を行う場合、または削減人数は20人以下だが従業員総数の10%以上に当たる場合、雇用主は30日前に労働組合または従業員全員に状況を説明し、労働組合と従業員の意見を聴取した後、人員削減計画を労働行政部門に報告することにより、人員を削減できる。
(1)企業破産法の規定に基づき再編を行うとき
(2)生産経営に著しい困難が生じたとき
(3)企業が生産品目変更、重大な技術革新、経営方式の変更を行い、労働契約の変更後もさらに人員削減が必要なとき
(4)その他の要因で労働契約を結んだ当時の客観的な状況に重大な変化が生じ、労働契約の履行が不可能となったとき
人員削減に際しては、次の人員を優先的に継続雇用しなければならない。
(1)雇用主とより長期の期限付き労働契約を結んだ者
(2)雇用主と無期限労働契約を結んだ者
(3)家庭に他に就業者がなく、高齢者や未成年者を扶養する必要がある者
雇用主は本条1款の規定に基づき人員を削減し、6カ月以内に人員を再募集する場合、削減対象となった人員に通知しなければならず、削減対象となった人員を同等条件で優先雇用しなければならない。

第42条 労働者が以下に掲げる状況に該当する場合、雇用主は本法律第40条、第41条に基づき、労働契約を解除することはできない。
(1)職業病の危険がある作業に従事、接触し、離職前に健康検査を実施しなかった場合、または職業病を罹患(りかん)したと疑われる患者が診断または医学的観察期にあるとき
(2)雇用先で職業病を罹患、または業務に起因する負傷で労働能力のすべてまたは一部を失ったとき
(3)患者となっているか勤務中以外の負傷者で、規定の治療期間が経過していないとき
(4)女性従業員で妊娠中、分娩期、乳児の授乳期に当たるとき
(5)勤続満15年以上で、法律に定める定年まで5年以内のとき
(6)法律、行政法規が定めるその他状況に当たるとき

第43条 雇用主が一方的に労働契約を解除するとき、労働組合にその理由を通知しなければならない。雇用主が法律や行政法規や労働契約に違反した場合には、労働組合は雇用主に是正を求めることができる。雇用主は労働組合の意見を検討し、書面で処理結果を労働組合に通知しなければならない。

第44条 以下に掲げる状況に該当する場合は、労働契約が終了する。
(1)労働契約の期限が満了したとき
(2)労働者が法律に基づき基本養老保険を受け始めたとき
(3)労働者が死亡または人民法院で死亡または失踪が宣告されたとき
(4)雇用主が法律に基づく破産宣告を受けたとき
(5)雇用主が営業免許を取り消されるか、閉鎖を命じられたとき、または雇用主が法人を繰り上げ解散したとき
(6)法律、行政法規で定めるその他状況に当たるとき

第45条 労働契約の期限が満了し、本法律第42条に定める状況のいずれかに該当する場合、労働契約は相応の状況が解消するときまで延長しなければならない。ただし、本法律第42条2項に定める労働能力のすべてまたは一部を失った者の労働契約終了に関しては、国家の関連労災保険の規定を適用する。

第46条 以下に掲げる状況のいずれかに該当する場合、雇用主は労働者に経済補償を支払わなければならない。
(1)労働者が本法律第38条の規定に基づき労働契約を解除した場合
(2)雇用主が本法律第36条の規定に基づき、労働者に労働契約の解除を求め、労働者との交渉による合意で労働契約を解除したとき
(3)雇用主が本法律第40条の規定に基づき労働契約を解除したとき
(4)雇用主が本法律第41条1款の規定に基づき労働契約を解除したとき
(5)雇用主が労働条件の維持または改善を提示し労働契約の更新を求め、労働者が更新に同意しなかった場合を除き、本法律第44条1項の規定に基づき期限付き労働契約を終了したとき
(6)本法律第44条4項、5項の規定に基づき労働契約を終了した場合
(7)法律、行政法規で定めるその他状況に当たるとき

第47条 経済補償は労働者の勤続年数に従い、1年当たり1カ月分の賃金を基準として労働者に支給しなければならない。労働者の勤続期間が6カ月以上1年未満の場合は、1年として計算する。6カ月未満の場合は、半月分の賃金を経済補償として支給する。
労働者の月額賃金が事業所が所在する直轄市、市級人民政府が発表した前年度の労働者月額賃金の3倍を上回る場合、労働者に対する経済補償の基準は月額賃金の3倍とし、支給期間は最長12年を超えないものとする。
本条でいう月額賃金は労働者は労働契約を解除または終了する前の12カ月の平均賃金を指す。

第48条 雇用主が本法律の定めに違反して、労働契約を解除または終了しようとするとき、労働者が労働契約の継続履行を要求した場合、雇用主はそれに応じなければならない。労働者が労働契約の継続履行を求めない場合、または労働契約の履行が既に不可能な場合、雇用主は本法律第87条の規定に基づき賠償金を支払わなければならない。

第49条 国家は労働者の社会保険を地域を越えて移籍継続できる制度を整えるための措置を講じる。

第50条 雇用主は労働契約を解除または終了するとき、労働契約の解除または終了に関する証明書を交付しなければならない。また、15日以内に労働者の個人資料と社会保険の移転手続きを行わなければならない。
労働者は双方の合意に従い、業務引き継ぎを行わなければならない。雇用主が経済補償を支給する必要がある場合は、業務引き継ぎ終了時点で労働者に支給する。
雇用主は解除または終了した労働契約を少なくとも2年保存しなければならない。

第5章 特別規定
第1節 団体協約
第51条 企業労働者は雇用主と平等な交渉を通じ、労働報酬、勤務時間、休憩休暇、労働安全衛生、保険福利などの事項について団体協約を結ぶことができる。団体協約の草案は従業員大会に提出、または従業員全員による協議を経て可決されなければならない。
団体協約は労働組合が従業員を代表し雇用主と結ぶ。労働組合が結成されていない職場では、上部組織の労働組合の指導により推挙された労働者代表と雇用主の間で結ぶ。

第52条 企業労働者は雇用主と労働安全衛生、女性労働者の権益保護、賃金調整の仕組みなどに関する特定内容の団体協約を結ぶことができる。

第53条 県級以下の行政区域内では、建築業、鉱山採掘業、飲食サービス業などの業種で労働組合と企業の代表が業種別団体協約、または地域内団体協約を結ぶことができる。

第54条 団体協約を結んだ場合、労働行政部門に報告しなければならない。労働行政部門が契約文を受理してから15日以内に問題を指摘しなければ、同協約は効力を生じる。
法律に基づき結ばれた団体協約は雇用主と労働者の双方に強制力を持つ。業種別、地域内団体協約は、対象業種、対象地域の雇用主と労働者の双方に強制力を持つ。

第55条 団体協約に定める労働報酬と労働条件は地元人民政府が定める最低基準を下回ってはならず、雇用主と労働者が労働契約で定める労働報酬と労働条件も団体協約に定めた基準を下回ってはならない。

第56条 雇用主が団体協約に違反し、従業員の権益を侵した場合、労働組合法律に基づき雇用主が責任を負うことを要求できる。団体協約の履行に関し争いが生じ、交渉で解決できない場合、労働組合法律に基づき仲裁を求めるか、訴訟を提起できる。

第2節 労働者派遣
第57条  労働者派遣機関は、会社法の規定によって設立され、授権資本金が50万元を下回ってはならない。

第58条 労働者派遣機関は本法律で称する雇用主であり、雇用主の労働者に対する義務を履行しなければならない。労働者派遣機関と派遣労働者が締結する労働契約には、本法律第17条に掲げる事項以外に労働者の派遣先事業所、派遣期間、勤務部署などを明記しなければならない
労働者派遣機関は派遣労働者と2年以上の期限付き労働契約を結び、毎月報酬を支払わなければならない。派遣労働者に勤務すべき業務がない期間も、労働者派遣機関は事業所所在地の人民政府が定める最低賃金基準に基づき、毎月報酬を支払わなければならない。

第59条 労働者派遣機関が労働者を派遣する場合、労働者派遣方式による雇用を受け入れた派遣先と労働者派遣協定を結ばなければならない。労働者派遣協定には派遣先の職位、人数、派遣期限、労働報酬、社会保険費の金額と支払い方式、協定に違反した場合の責任の所在などについて定めなければならない。
雇用先は実際の需要に基づき、労働者派遣機関と派遣期限を決めるものとし、連続する派遣期間を分割して短期の労働者派遣契約を結んではならない。

第60条 労働者派遣機関は労働者派遣協定の内容を派遣労働者に告知しなければならない。
労働力派遣機関は、派遣先が労働者派遣協定に基づき労働者に支払う労働報酬から金銭を差し引いてはならない。
労働者派遣機関と雇用先は派遣労働者から費用を徴収してはならない。

第61条 労働力派遣機関が他の地区に労働者を派遣する場合、労働者の労働報酬や労働条件は、派遣先の所在地の基準による。

第62条 派遣先は以下に掲げる義務を負う。
(1)国家の労働基準を適用し、相応の労働条件と労働保護を提供すること
(2)派遣労働者に対する業務要求と労働報酬を告知すること
(3)時間外勤務手当、勤務成績に基づく賞与の支給、職位に関係する福利待遇の提供
(4)派遣労働者が派遣された職位で必要とされる研修の実施
(5)継続的な雇用に対し、正常な賃金調整を行うこと
派遣先は派遣労働者をさらに別の事業所に派遣してはならない。

第63条 派遣された労働者は派遣先の労働者と同種の業務で同一賃金を受け取る権利を有する。派遣先に同種の職種がない場合には、派遣先の所在地における同種業務または業務内容が近い職位の労働者の労働報酬を参考にして決める。

第64条 派遣労働者は労働者派遣機関または派遣先で法律に応じ労働組合に参加、または労働組合を結成し、自身の合法的権益を守る権利を有する。

第65条  派遣労働者は本法律第36条、第38条の規定に従い、労働力派遣機関との労働契約を解除できる
派遣労働者が本法律第39条、第40条1項、2項に定める状況に該当する場合、派遣先は労働者派遣機関に労働者を戻すことができ、労働者派遣機関は本法律の関連規定に基づき、労働者との労働契約を解除できる。

第66条 労働者派遣は一般的に臨時、補助的または代替的な職位において実施する。

第67条 派遣先は自らの事業所または系列事業所に対し労働者を派遣する労働者派遣機関を設立してはならない。

第3節 パートタイム
第68条  パートタイム雇用は、主に時給基準で、同一雇用主における労働時間が一般的に1日当たり平均4時間、1週間当たり24時間を超えない雇用形式を指す。

第69条 パートタイム雇用では当事者双方が口頭による協定を結ぶことができる。
パートタイム雇用に従事する労働者は単一または複数の雇用主と労働契約を結ぶことができる。ただし、後に結んだ労働契約が先に結んだ労働契約の履行に影響を与えてはならない。

第70条 パートタイム雇用で当事者双方は試用期間を設けることができない。

第71条 パートタイム雇用の当事者双方は随時雇用関係の終了を通知できる。雇用終了に当たり、雇用主は労働者に経済補償を支払わない。

第72条 パートタイム雇用の時給基準は、事業所所在地の人民政府が規定する最低時給基準を下回ってはならない。
パートタイム雇用による労働報酬の支払い周期は15日を超えてはならない。

第6章 監督検査
第73条 国務院の労働行政部門は、全国における労働契約制度の実施に関し監督管理を行う。
県級以上の地方人民政府の労働行政部門は、管轄行政区域内における労働契約制度の実施に関し監督管理を行う。
県級以上の各級人民政府労働行政部門は労働契約制度の実施に関する監督管理工作に際し、労働組合、企業代表、業界主管部門の意見を聴取しなければならない。

第74条 県級以上の地方人民政府は法律に基づき、以下の事項に関し労働契約制度実施の状況について監督検査を行う。
(1)雇用主が制定した労働者の直接的利益に関わる規定・制度とその実施状況
(2)雇用主と労働者による労働契約の締結、解除の状況
(3)労働力派遣機関と雇用先による労働力派遣に関する規定の順守状況
(4)雇用主による労働時間、休憩休暇に関する国家規定の順守状況
(5)雇用主による労働契約に定められた労働報酬支払いと最低賃金基準の実施に関する状況
(6)雇用主による各種社会保険加入と社会保険費納付に関する状況
(7)法律、法規に規定されたその他労働監察事項

第75条 県級以上の地方人民政府労働行政部門が監督検査を実施する際、労働契約、団体協約に関する資料を閲覧し、勤務場所の実地検査を行う権利を有する。雇用主と労働者は真実に従い関連状況を説明し、資料を提供しなければならない。
労働行政部門の係官が監督検査を行うときは、身分証明書を提示し、法律に従い文明的に法律を執行しなければならない。

第76条 県級以上の人民政府の建設、衛生、安全生産監督管理などの関係主管部門はそれぞれの職責の範囲内で、雇用主による労働契約制度の実施状況について監督検査を行う。

第77条 労働者の合法的権益が侵害された場合、関係部門に法律に基づく処理を求め、仲裁を申請し、訴訟を提起する権利を有する。

第78条 労働組合法律に基づき労働者の合法的権益を保護し、雇用主による労働契約、団体協約の履行状況を監督する。雇用主が労働関連の法律、法規、労働契約、団体協約に違反した場合、労働組合は意見を具申したり、是正を求める権利を有する。労働者の仲裁申請、訴訟提起に対し、労働組合法律に基づき支持、支援を与えなければならない。

第79条 いかなる組織や個人も本法律に違反する行為について通報する権利を有する。県級以上の人民政府労働行政部門は速やかに確認、処理し、通報者に対する報奨を行わなければならない。

第7章 法律責任
第80条 雇用主が定めた労働者の直接利益に関わる規定、制度が法律、行政法規に違反する場合、労働行政部門は是正を命じ、警告を与える。労働者に損害が生じた場合、雇用主は賠償責任を負う。

第81条 雇用主が提供した労働契約の文面に本法律に定めた必須事項が記載されていない場合や雇用主が労働契約の文面を労働者に交付しない場合、労働行政部門は是正を命じる。労働者に損害が生じた場合は雇用主が賠償責任を負う。

第82条 雇用主が採用日から1カ月超1年未満の間に労働者と書面による労働契約を結んでいない場合には、労働者に毎月2倍の賃金を支払わなければならない。
雇用主が本法律の規定に違反し、労働者と無期限労働契約を結ばなかった場合、雇用主は無期限労働契約を結ぶべき日から起算して、毎月2倍の賃金を支払わなければならない。

第83条 雇用主が本法律の規定に反して、労働者との間で試用期間を定めた場合、労働行政部門は是正を命じる。法律に違反して定められた試用期間が既に履行された場合、雇用主は労働者の試用期間の月額賃金を基準に、法律に定めた試用期間を超える期間について労働者に賠償金を支払わなければならない。

第84条 雇用主が本法律の規定に違反し、身分証などの証明書類を預かった場合、労働行政部門は期限内に労働者本人に返還するよう命じ、法律の規定に従い処罰を行
う。
雇用主が本法律の規定に違反し、担保またはその他の名目で、労働者から財物を受け取った場合、労働者1人当たり500元以上2000元以下の基準で罰金を科す。また、労働者に生じた損害に対し、雇用主は賠償責任を負う。
労働者が法律に基づき労働契約を解除または終了したとき、雇用主が労働者の個人資料やその他物品を返却しない場合、前項の規定に従い処罰する。

第85条 雇用主が以下に掲げる状況に該当する場合、労働行政部門は期限を設け労働報酬、時間外勤務手当、経済補償の支払いを命じる。労働報酬が最低賃金基準を下回る場合は、差額を支給しなければならず、期限を過ぎても支給しない場合は、支給すべき金額の50%以上100%以下の加算賠償金支払いを命じる。
(1)労働契約の定めや国家規定に従わず、労働者に期日までに労働報酬を支払わない場合
(2)賃金最低賃金基準を下回る場合
(3)時間外勤務に対し、時間外勤務手当を支給しない場合
(4)労働契約を解除または終了し、本法律の規定に基づく経済補償を支払わない場合

第86条 労働契約の無効が本法律第26条の規定により確認され、相手方に損害を与えた場合は、過失がある一方が賠償責任を負う。

第87条 雇用主が本法律の規定に違反し、労働契約を解除または終了した場合、本法律第47条に規定する経済補償の2倍相当額を労働者に賠償金として支払わなければならない。

第88条 雇用主が以下に掲げる状況に該当する場合、法律に基づき行政処罰を行う。犯罪を構成する場合には、法律に基づき刑事責任を追及する。労働者に損害を与えた場合、法律に基づく賠償責任を負う。
(1)暴力、脅迫、人身の自由の違法な制限により労働を強要した場合
(2)規定に違反する指揮や危険作業の強制で労働者の身体の安全に危険を及ぼした場合
(3)侮辱、体罰、殴打、不法捜査および労働者を拘禁した場合
(4)劣悪な労働条件、深刻な環境汚染で、労働者の心身の健康を著しく損ねた場合

第89条 雇用主が本法律の規定に従わず、労働者に労働契約の解除、終了に関する証明書類を交付しなかった場合、労働行政部門は是正を求める。労働者に損害を与えた場合、雇用主は賠償責任を負う。

第90条 労働者が本法律に違反し労働契約を解除したか、労働契約に定められた守秘義務や競業規制に違反し、雇用主に損害を与えた場合、労働者は賠償責任を負う。

第91条 雇用主が他の雇用主との労働契約を解除または終了していない労働者を採用し、他の雇用主に損失を与えた場合、連帯賠償責任を負う。

第92条 労働者派遣機関が本法律の規定に違反した場合、労働行政部門とその他主管部門は是正を命じ、違反内容が重大な場合は、1人当たり1000元以上5000元以下の罰金を科し、工商行政管理部門が営業免許を取り消す。派遣労働者に損害を与えた場合は、労働者派遣機関と派遣先が連帯賠償責任を負う。

第93条 合法的な経営資格を持たない雇用主の違法、犯罪行為に対しては、法律に基づき法的責任を追及する。労働者が既に労働を提供した場合には、当該雇用主と出資者が本法律の規定に従い労働者に労働報酬、経済補償、賠償金を支払う。労働者に損害を与えた場合は、賠償責任を負う。

第94条 個人請け負い業者が本法律に違反して労働者を採用し、労働者に損害を与えた場合、発注元の組織と個人請け負い業者が連帯賠償責任を負う。

第95条 労働行政部門とその他関係主管部門またはその係官が、職務をおろそかにし、法律に定めた職責を履行しなかったり、職権を違法に行使し、労働者や雇用主に損害を与えた場合、賠償責任を負う。直接責任を負う管理職とその他直接責任を負う者に対し、行政処分を行い、犯罪を構成する場合は、法律に基づき刑事責任を追及する。

第7章 附則
第96条 事業所と招聘制による従業員が労働契約を締結、履行、変更、解除、終了する場合、法律や行政法規または国務院による規定がある場合は、その規定に従う。規定がない場合は本法律の関連規定を適用する。

第97条 本法律の施行前に既に結ばれ、本法律施行の日に存続中の労働契約は、継続履行するものとする。本法律第14条2款3項に規定する期限付き労働契約の回数は、本法律施行後の期限付き労働契約を更新した時点から起算する。
法律の施行前に成立した労働関係で、書面による労働契約が結ばれていない場合は、本法律施行から1カ月以内に締結しなければならない。
本法律の施行日に存続中の労働契約を本法律の施行後に解除または終了する場合、本法律第46条の規定に従い経済補償を支払わなければならない。経済補償の年限は本法律施行の日から起算する。本法律施行前の関連規定により労働者に経済補償を支払うべき雇用主には、当時の関連規定を適用する。

第98条 本法律は2008年1月1日に施行する。(了)

 

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