規定制度の制定・改定時の民主プロセス
中国では労使協議の民主プロセスの3ステップは①告知 ②意見収集 ③公示 であると明示されています。
規定制度の制定・改訂の際の民主プロセスは;
①告知  :会社が起案、告知
②意見収集:従業員の意見を収集、協議 *意見書、議事録等保管要
③公示  :前述各種手法による公知、証拠保存 *最終決定権は会社にある
労働契約法第4条】
雇用単位(会社)が労働報酬、労働時間、休息休暇、労働安全衛生、保険福利教育研修、労働規律、労働内容等の労働者の切実な利益に直接かかわる規則制度または重大事項の制定・変更・決定の場合、従業員代表大会または従業員全体の討論を経て提案及び意見を収集し、労働組合または従業員代表と平等に協議確定しなくてはならない」

事例

トラブル
小佳は2004年1月10日からDF社に雇われ、梱包業務に従事し、労働契約を更新してきた。
直近の労働契約の期間は2011年1月1日から2013年12月31日。
2013年6月25日、小佳が申し出た職務変更に主管と部長が同意せず、小佳と部長が殴り合いの喧嘩となった。
2013年6月26日、DF社は会社就業規則への重大違反により小佳との労働契約を解除した。

 

労働契約
2013年9月、小佳は労働仲裁所に仲裁を申し出た。審査の結果、小佳の労働契約書のその他事項の欄に「本人は2007年11月26日発布の会社就業規則を閲読し理解しました」というスタンプ*が押されていた。

 

仲裁裁定
DF社は2007年11月26日以降に多くの就業規則項目の改訂を実施しており、労働契約書のスタンプ*は就業規則項目を小佳に告知していた証拠とはならず、DF社が小佳の労働契約を解除したことは違法解除にあたると裁定。DF社に対して、労働契約違法解除の経済補償金(通常経済補償金の2倍-小佳の場合は直近12ヶ月の平均月収(グロス)の19か月分ー)の支払いを命じた。

 

NAVI
小佳が会社就業規則の労働契約即時解除条項にあたる「会社指示に従わず、暴力行為を行う」という就業規則及び業務紀律違反を犯したにもかかわらず、仲裁裁定はDF社の労働契約違法解除の仲裁裁定を下したのか? 課題は会社規則制度の告知プロセスにあります。

 

NAVI
規則制度の告知方法例 *公知の証明要
①就業規則は労働契約の一部分で有るため、労働契約締結時に附則として提供する。
労働契約の附則一覧に就業規則を明記。
②就業規則単独で受取署名を取得する。直接署名取得が困難な場合は、登録住所に郵送した証明を保存する。
*就業規則に届出送達先への送達証明により、会社の送達証明とする旨の記載要。
③従業員説明会(全社員)開催による説明。
*出席者名簿への署名取得の上、保存。
④社内掲示、社内WEBに保存の上、閲覧をメール等で全員に周知。
*社内掲示の場合は掲示状況の写真保存。
⑤就業規則研修会の実施とテスト実施。
*回答用紙は記名制。
労働組合工会)へ公知を委託する場合も、労働組合が従業員へ公知した証拠の保存が必要です。

 

NAVI
中国では80年代の《全民所有制工業企業職員代表大会条例》にて、職員代表大会の職権範囲に規則制度の審議権が規定されています。2008年制定の労働契約法では、上述の第4条にて、従業員、従業員代表大会労働組合等の意見を収集し、協議のプロセスを経る事が規定されています。
しかしながら、協議プロセスを経たうえで、健全な企業経営の為の規定制度の制定権は会社(=経営)に所属していることも明確です。民主プロセスと従業員の同意取得を混同しているケースが散見される点は昨今の留意点と思われます。また、会社の権限を有効に発揮するためには日常の良好な労使関係の醸成が何より重要と思われます。

 

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