2004年1月1日施行の《労災保険条例》は2013年の《労災保険条例の実施に関わる若干の問題に関する意見》を経て、2016年1月19日に“意見(二)”(意見公募稿)が公開されました。市場動向にあわせた労災保険の整備が進められるものと思われます。
労災保険条例の実施に関わる若干の問題に関する意見(二)(意見公募稿)》日本語訳:R
意見公募稿は全10項からなりますが、主要内容は下記です。
労災保険養老保険の重複の調整
労災認定を受けた者が非労災疾病で死亡した場合の労災保険養老保険それぞれに規定されている「扶
養親族弔慰金」等の調整規定。
定年年齢以降の就労者への労災保険待遇付与規定
現在の法定定年退職年齢と労働者の健康水準のギャップから定年年齢以降も就労する労働者が増加して
いることにともなう定年年齢後(=養老年金受給開始後)の労災保険加入に関わる規定。

NAVI
長期就労者が多い日系企業では、定年退職者(養老年金受給開始者)の再雇用が増加しています。現状は労災保険非対象ですが、業務を原因とする災害に対する企業責任による補償は合理的な範囲内で必要となることから、雇用者責任保険等への加入を推奨していますが、労災保険の対象となることが確定すれば、定年退職者の再雇用に関わる課題の一つが解消されることとなります。
税務面でも、一般労働者と同様の就業規則に則って就労する定年後の再雇用者の所得税は、一般就労者所得税と同様の税制適用が実務上認められ始めています。
来年度以降の定年年齢延長政策の開始を視野にいれた政策調整と思われます。

 

労災非対象の費用の保険基金補償範囲の規定
労災保険加入前に発生した労災従業員の新規発生費用(医療費、リハビリ費用、介護費用、死亡した
場合の弔慰金等)の補償に関わる規定。
④業務に無関係な活動時の事故の取り扱い
雇用企業が参加を要求した活動における事故の労災認定に関し、業務に無関係な活動は業務原因とはみ
なさない(=労災と認定しない)と明示する規定。
労災保険加入地以外の勤務地における労災の判断基準
固定の住所、明確な業務と休息時間があり、業務原因で事故に遭った場合または罹患した場合、駐在地
での正常勤務における労災とみなす。

NAVI
中国国内市場における事業拡大のための企業活動の国内での広域化にともない、国内転勤が増加しています。保険加入地以外における、業務に起因する事故・罹患が労災として認定されることは、分公司や地方事務所への異動に関わる課題の一つが解消されることとなります。

 

⑥出退勤時の労災認定に関わる判断基準
出退勤を目的とし、合理的な時間内に勤務先・居住地間を合理的な路線で往復する場合、出退勤途上と
みなす。
⑦法人登録地と生産経営地が異なる場合の処理
・原則として、雇用企業の登録地で労災保険に加入しなくてはならない。
・法人登録地と生産経営地が異なり、法人登録地で労災保険に加入していない場合、生産経営地で労
災保険に加入することができる。
労務派遣の場合の規定、建設施工企業によるプロジェクトの場合の規定を再定義。
労災認定申請期限の延長に関わる事項
労働者権益保護のため、労災認定申請期限の延長を規定。労働仲裁期間、資料紛失期間、身柄拘束期間
等は労災申請期限延長処置可とする。

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