本年3月の第13期全国人民代表大会第1回会議における李克強総理の2018年政府活動案では、所得税基礎控除額を引き上げる方針が発表されていましたが、 6月29日、個人所得税法修正案(意見公募稿)全文が公布され、個人所得税法修正は基礎控除額の引上げにとどまらない改革案が提示されています。
個人所得税基礎控除額の推移:https://cochicon.com/2818.html
個人所得税https://cochicon.com/250.html

修正案のポイント
1.課税所得の区分修正、年次課税への修正
・現行の「給与・賃金所得」「労務報酬所得」「原稿所得」「特許権使用費所得」を「総合所得」とし
て統合し、徴税対象は納税居住者個人とする。
・現行法の月次または所得発生時毎の納税納税年度合算納税とする。

2.個人所得税率の修正
・総合所得:3%~45%の累進課税とする。(税率表次項)

3.基礎控除額の修正
・ 「総合所得」の基礎控除額は納税年度(1月~12月)に60,000元および控除項目金額とする。
・控除項目は法規に基づく社会保険費用個人負担部分および住宅積立金個人負担部分、子女教育費、継
教育費用、重大疾病医療費、住宅ローン利息及び返済金等。

NAVI:
現在の賃金所得の基礎控除額は3,500元/月ですが、60,000元/年(5,000元/月)に引き上げられます。人民代表大会後の世論では7,000元/月、8,000元/月、10,000元/月への基礎控除引上げが議論されていましたが、意見公募稿は5,000元/月とされ、外国人(現行4,800元/月)も同水準とするとされています。

 

NAVI:
「労務報酬所得」は労契約ではなく、労契約に基づく労務提供(定年退職後の労務提供、インターンシップ、その他労働契約締結不可の場合の労務提供)報酬に対する課税で、現行は一般的には基礎控除800元、税率20%でしたが、一般の労働契約に基づく所得と同様の基礎控除、税率となり、実質的に大幅な減税措置となります。

 
4.納税人識別番号の導入と代納義務者の特別控除月次処理義務
・所得を得る“納税義務者”は身分証明書番号を納税識別番号とし、所得を支給し所得税を控除代納する
“代納義務者”に通知しなくてはならない。
・代納義務人が月次、所得支給時に所得税を控除している場合も納税額は年度で確定する。納税義務者
は代納義務者に特別控除項目および金額を申告しなくてはならず、代納義務者は月次納税額に反映し
なくてはならず、これを拒否してはならない。

NAVI:
所得税代納義務者である雇用企業の業務負荷、管理負荷が増加すると思われます。また、現在年間所得12万元以上の人員に要請されている確定申告の対象者が、納税人番号の導入により増加すると予測されています。

 
5.移行期の処置
修正法規は2019年1月1日から執行。2018年10月1日~12月31日の総合所得は基礎控除額5,000元/月で新規税率表に基づいて月次徴税し、年次調整は実施しない。
【総合所得税率表(案)】

年収範囲 税率
1 36,000元以下 3%
2 36,001元以上―144,000元以下 10%
3 144,001元以上―300,000元以下 20%
4 300,001元以上ー420,000元以下 25%
5 420,001元以上ー660,000元以下 30%
6 660,001元以上―960,000元以下 35%
7 960,001元以上 45%
*基礎控除60,000元および特別控除項目金額控除