昇給ガイドラインは1997年1月の《地区給与指導ライン制度試行に関する試行弁法》の発布により北京等の10地区の試行地点で実施され、1999年10月から旧労働保障部が全国範囲で制度を確立して現在に至っています。
社会主義市場経済下の中国において、国家が企業の報酬分配に対してマクロ調整を行う制度の一つで、各地域の経済成長、物価水準、労働市場の状況(失業率等)を考慮して地方政府の批准を経て、地方政府または各地の労働保障行政部門より通達されますが、強制力はありません。
近年は、労働政策として労使間の集団協議を強く推奨しており、昇給に関しても、各企業毎に昇給ガイドラインを参考数値として扱い、労使協議を通じて昇給率、報酬分配方式を決定することが指導されています。

所得分配制度改革、最低賃金・労働報酬引き上げ政策の主要政策として、各地で“集団契約” (≒労働協約)締結指導が強化されています。主要特定項目契約である賃金集団契約では、賃金調整(≒昇給)に関する項目は必須とされています。
昇給率確定根拠:例)収益増加率、昇給ガイドライン、CPI、地域平均昇給率最低賃金上昇率等
昇給予算の調整:例)人件費上昇率、企業内の昇給幅(○%~○%)等
を規定する必要があり、政策指導である昇給ガイドラインは従来以上に参考値としての重要性を増すものと考えられます。

昇給ガイドライン上海)】

下限 基準ライン 上限
経営状況が厳しい赤字企業は従業員代表大会(または従業員大会)の討論を経て下限を下回ることも可。 収益状況が思わしくない
企業。
経営状況が正常な
増益企業。
経営状況が正常な増益企業で従業員平均賃金が2015年度市平均賃金の60%を下回る企業。
従業員平均賃金が前年度市平均賃金の2倍
を上回る企業は平均ライン以下の昇給率で可。

 
【行政指導】
1.企業の経済効率を反映した正常な賃金増加制度を確立し、積極的に賃金集団協議を行い、合理的に企業ごとの賃金増加水準、職務・人員ごとの賃金調整幅を確定すること。
2.賃金水準が低い生産現場職務の人員の賃金水準を引き上げること。現場職工の賃金上昇率は企業平均賃金上昇率を下回ってはならない。
3.高級管理職と一般職員の賃金配分に留意し、企業の高級管理者の賃金増加は企業平均賃金上昇幅を下回らなければならない。
4.企業と従業員が賃金集団協議を経て合理的な賃金増加、分配方法を確定し、企業発展、従業員の合法的権益の保障、労使関係の調和と安定を維持することを強く推奨する。

NAVI
2015年10月1日から施行される《上海市集団契約条例(修正)》において、昇給ガイドラインは、賃金集団契約時の参考要素として規定されました。