CoChi HR Navi  ---Vol.105---  2016.·9.28 コチ コンサルティング  日本では「働き方改革」が議論の俎上に上っており、「長時間労働の是正」「同一労働同一賃金」「高齢者雇用促進」等が議論されていますが、中国でも重大な労働保障違反抑制強化をはかる図る《重大労働保障違法行為社会公布便法》が来年1月1日より施行されることとなりました。残業時間管理等の労働保護法規違反7項目が明示されています。本号では、《重大労働保障違法行為社会公布便法》概要並びに、企業様からの質問が増加している定年退職時の企業業務についてご報告いたします。 内容  【人事・労務情報】             ■ 《重大労働保障違法行為社会公布便法》概要     ■定年退職時の企業業務■《重大労働保障違法行為社会公布便法》概要  全文日本語訳: https://cochicon.com/1141.html《重大労働保障違法行為社会公布便法》(人力資源社会保障部令第29号)は本年6月23日から7月22日まで公開意見公募稿が議論されていましたが、9月1日に公布され、来年1月1日から施行となりました。 【施行の目的】重大労働保障違法行為の懲戒強化、世論を巻き込んだ監督強化、雇用企業の労働保障法規  順守の促進。 【懲戒の方法】重大違法行為は人力資源社会保障行政部門ホームページに公表すると同時に、行政区域の   主要新聞、テレビ等の媒体にて下記内容を公表する。  ①違法企業名、社会統一信用番号(または登記番号)および所在地  ②法定代表または責任者姓名  ③主要違法事実  ④処理状況 【「重大労働保障違法行為」と見做し社会公表する対象行為】  ①労働報酬の控除・正当な理由のない遅配の金額が比較的大きい場合、労働報酬の支払い拒否の場合は   法に則り司法による刑事責任を追及する。  ②法に反し社会保険に参加しない、または、法に則った社会保険費用の納付をしない場合で状況が厳   重な場合。  ③労働時間及び休息休暇規定に違反し、状況が厳重な場合。  ④女性労働者・未成年の特殊労働保護規定に違反し、状況が厳重な場合。  ⑤児童労働禁止規定に違反した場合。  ⑥労働保障違法行為により社会に重大な悪影響を与えた場合。  ⑦その他の重大な労働保障違法行為
NAVI  本便法では罰則規定はありませんが、労働契約法、社会保険法では、報酬支払、社会保障費用の納付が正常でない場合の補償や罰則が規定されており、労働者が申し出た場合は補償金、賠償金、罰金等の経済措置が科されることになります。 また、労働者が賃金の不正常支給、社会保障費用の不正常納付を理由に労働契約解除を申し出た場合、企業は経済補償金の支払い義務が発生します。残業代、傷病休暇賃金等が合法支給されていない場合も賃金の不正常支給となりますので、留意が必要です。NAVI  重大労働保障違法行為と認定された場合、労働保障部門に記録されるとともに、《企業情報公示暫定条例》等の法規の範囲内で、他の行政部門、社会組織に情報共有される(第10条)としています。 “ブラック企業”として業務許認可等にも影響を与えることが考えられます。NAVI  本便法本には記載されていませんが、行政部門の公表では、重大労働保護違法行為の告発者には奨励金が支払われるとされています。従来、人事労務管理の不備は労働契約解除の際のリスク要因とされていましたが、税務告訴等と同様、労務管理における法令違反のリスクが増大することになります。■定年退職制度高齢化、就労人口減少を受け検討されている定年退職年齢の引き上げ政策は2017年に決定されると公表されています。*定年年齢引き上げの動向:https://cochicon.com/74.html 日系企業では定年退職者、予備軍の増加にともない、役職任期・定年制度、早期退職制度、再雇用制度等を検討する企業様が増加しています。 *定年退職再雇用時の保険:https://cochicon.com/1117.html *定年再雇用時の業務中事故は労災か?:https://cochicon.com/975.html 定年退職手続きは企業側の業務ですが、手続き漏れによるトラブルが出ています。下表は代表的都市の定年退職手続きです。行政単位(区、県等)、定年退職者の個人状況(戸籍、特殊職種経験者 等)により手続きが異なります。今後人事部門の業務負荷増となることが考えられます。	北京	上海	広州 正常退職年齢	男性60歳、女性50歳(管理職、技術人員は55歳)		 正常退職の場合の	15年		 累計就労年数条件			 退職手続き受付期間	定年退職年齢に達する(誕生日)以前に申請を開始する。	定年退職年齢に達する誕生日当月の5~26日。	定年退職年齢に達する月(誕生日月)に手続きを完了する。 	(区により受付開始時期が異なる)		(事前に当月の社保納付確認要) 退職手続き人	企業担当者		 手続き期間	定年退職月(定年年齢の誕生日月)中に完了。	30日	1日 最終社会保険費用納付	退職月(退職年齢に達する当月)		 養老年金支給開始	退職翌月(定年年齢に達した翌月)		NAVI  女性の定年年齢は一般職50歳、管理職55歳とされています。50歳から55歳の間に定年手続きを実施する場合の労働契約解除/終了は、定年と見做した終了ができるのか、労働契約解除と見做されるのか、労働局の判断も一定ではありません。会社において、管理職を明確に定めること、定年退職時期を正確に把握し適時に手続きを実施することが必要です。