■ <賃金のグロス・ネットの功罪>

最近契約金額をNetからGrossに変更したいというご相談が増えています。
一方、この変更による従業員の反発を恐れ二の足を踏んでいる企業様も多いようです。
ここで中国賃金体系の特徴でもあります契約金額のGross・Netという形態についてまとめてみましょう。

中国では、外資系企業の中国市場への開放当時、直接雇用が認可されておらず、派遣会社(FESCO等)を経由した雇用であり、その際、派遣会社は外資系企業に対して、社会保険料等の全額負担を要請し、外資系企業においては、従業員との労働契約賃金額は手取り金額保証型(Net契約)となった、という経緯があります。90年代後半に派遣会社の制度が撤廃され、額面給与保証型(Gross契約)へ移行の過渡期にあり、2013年度に行った上海日本企業100社調査では日本企業でも36%の企業様がNet賃金契約となっております。

Gross賃金:契約賃金個人所得税社会保険住宅積立金個人負担部分を含む。社会保険住宅積立金基数の変動による負担増は会社と個人それぞれが負担となる。

Net賃金:契約賃金は手取り額で、個人所得税社会保険住宅積立金個人負担部分は会社が負担。社会保険住宅積立金基数の変動による負担増は全て会社にかかってくる。(下記表参照)

※2014年の賃金改訂でGross賃金契約20,000元とした場合
(但し、2014年3月は現在の社保比率で試算)
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※2014年の賃金改訂でNet賃金契約15,032.75元(グロス20,000元)の場合
(但し、2014年3月は現在の社保比率で試算)

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上記の表のように、2014年3月時点では雇用コストは同額ですが、2014年7月以降の雇用コストはネット賃金契約の方が181.3元高くなっています。この差額は社会保険住宅積立金額個人負担分の差です。ネット賃金は従業員にとって賃金が保証されているという安心感があるものの、企業にとっては人件費の上昇というデメリットがあります。中国市場ではグロス賃金契約が一般的であり、2013年度に行った上海日本企業100社調査では日本企業でも64%の企業様がグロス賃金契約となっております。社会平均賃金社会保険基数経済補償金基数等の計算はグロス賃金をベースに行われますし、市場データ調査もグロス賃金で行うのが一般的であり、グロス賃金契約にすることは合理的といえます。会社側から見ると運用の効率性・経済性でネット賃金を採用することにより得られるものはないようです。

ネットからグロスに変更する際には、いかに従業員に安心感を与えられるかということが大きなポイントになります。賃金に関する改善プロジェクトでご支援する中でこの変更が多く、CoChiはこれまでの経験を活かし、ネットからグロスへの変更をお手伝いいたします。