最近、従業員の時間外の出張移動時間を残業とみなすべきかどうかについての御質問が多くあります。特に中国では国土の広さに加え、飛行機の遅延も多く、移動時間に多くの時間がかかるという現状があります。

移動時間を残業時間とみなすかどうかは、従業員にとっても関心が高い問題であり、過去には裁判にまで持ち出された事例もあります。

【事例】
・社員Aは土曜日22時09分の列車で出張に出発、
日曜日の11時55分に到着し、18時まで休日出勤をした。

・会社は社員Aに対し、日曜日の11時55分から18時までの分について
残業代を支給

・社員Aは出張の移動時間に対しても残業代の支払いを要求

裁判所がこの問題を扱うときのポイントになったのが、残業とは何か、ということです。
残業時間とは単なる時間の経過ではなく、特定の仕事を行っている時間である」という判断をしました。移動時間は拘束されているものの、実際の仕事をしておらず、社員Aの移動時間は残業とはみなされないという判断を下し、社員Aの要求を却下しました。

この判例が示しているように、法的には出張時の移動時間に対して、残業代を支払う必要はありません。
但し、このように従業員の関心が高い問題では、法律だけでなく従業員の満足度も考慮する必要があります。一般的には時間外出張の移動時間に対して、出張日当を支払う、代休を付与する、という運用をされている企業様が多いようです。

また、この争議では出張規程に移動時間をどのように扱うかを明記しておくことで防げた問題です。従業員の関心度の高い事項は、きちんと規程に定めておくという対策も必要です。