<販売成績最下位の社員を解雇できるか?>
労働契約を解除できる理由の一つに「業務に耐えない」というものがありますが、通常これは労働者が労働契約書で約定した業務を要求通りに果たせない場合を指します。では、考査制度において最下位の従業員がいた場合、これを理由として「業務に耐えない」と言えるでしょうか?このような事例がありました。

【事例】
従業員:張さん
上海の不動産会社と3年の労働契約を締結。
・会社の就業規則に、「年末考査最下位者淘汰」制度により年末考査が最下位の2名は契約解除と明記されており、張さんは確認後、署名。
・張さんはある年、販売成績が悪く、年末考査が最下位となり、会社はこれを理由に労働契約解除を通知。
・張さんはこれを不服として労働関係の回復を求めて仲裁を申請

【双方の主張】
張さん
この年は全体的に不動産業界の景気が悪かったが、自分は会社が設定した最低販売業績目標を達成しているし、業務遂行能力、業務態度のいずれもこの職位を果たすに相応しいものがある。また、会社の就業規則で規定している「年末考査最下位者淘汰」制度は不合理で、会社は例え販売業績が最下位であっても、それを理由に年末考査に不合格で、労働契約を解除するとは言えない。

会社
「年末考査最下位者淘汰」制度は就業規則に明記されており、張さんも確認、署名済み。
規則制度の制定、実施は会社の権利であり、張さんは実際に最下位だったのだから解雇は不適当ではない。

【結果】
仲裁委員会は審理を経た後、法律規定に基づき、雇用単位が「年末考査販売業績考査に不合格」という理由で労働者と労働契約を解除したことは法律的根拠に欠けるため、雇用単位が労働者との労働契約解除した行為を支持できない、としました。最終的に、仲裁委員会の裁決は、雇用単位に張さんとの労働関係を回復するように求めました。

近年中国では、労働者権利の保護強化という方向性がはっきりしてきています(※参考資料)。今回の事例では、考査最下位がそのまま業務に耐えないという証拠にはならないということをはっきりと示し、雇用単位が労働者が業務に耐えないことを理由に解雇するためには、研修や職位の調整などの法的プロセスを経る必要があり、会社にとって解雇のためのハードルが低くない事を示す実例ともなっています。
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【参考資料】
『最高人民法院の労働争議事案の審理に適用する法律の若干問題に関する解釈(意見募集稿)』
17条規定。(2013年1月18日公布)
「末位淘汰の適用:雇用単位が労働契約期間中に「末位淘汰、或いは競争選抜制等の形式を用いて一方的に労働契約を解除し、労働者が雇用単位に対し、雇用単位が違法に労働契約を解除したことを理由に雇用単位に労働契約の継続履行、或いは賠償金の支払を請求した場合、これを支持しなければならない」