<理不尽な傷病休暇証明により解雇された妊婦>
近年では女性従業員が妊娠を知ると同時に長期傷病休暇を申請することが一般的になりつつあります。妊娠した女性従業員には『労働契約法』と『中華人民共和国婦女権益保障法』があるため、企業は彼女たちの長期傷病休暇申請に対してなす術が無いように感じています。しかしながら、傷病休暇申請は無条件で認められるものではない、そんな事例をご紹介いたします。

【事例】
孫さんは上海市の銀行クレジットカードセンターで7年間勤務し、高収入を得ているベテラン社員です。2013年7月、三十歳になろうとしていた孫さんは待望の第一子を妊娠し、家族と相談の結果、アメリカで出産することに決め、家族ぐるみで計画を始めました。その後産前検査で「妊娠糖尿病」があることがわかった孫さんは胎児の安全のために会社に休暇を申請します。彼女は『上海市婦女権益保障法実施弁法』の規程で、二級以上の医療保険機構により習慣性流産記録、重大な妊娠総合症、合併症等により正常な出産に影響があることが証明された場合、本人の申請により、雇用単位は産前休暇を承認しなければならない。ということを知っていました。
会社の規則制度に産前休暇の規程が無かったため、孫さんは人事部門の潘さんに確認したところ、潘さんは電話で回答し、彼女に傷病休暇を申請するよう伝えました。その指示に従い、2013年7月から孫さんは連続して12回の傷病休暇を申請します。2014年1月23日、孫さんは出産のためにアメリカに向いました。
ところが、2014年3月12日、出産予定日から10日もたたないうちに、アメリカにいた孫さんは思いもかけず会社からの解雇通知を受け取りました。
会社の対応に納得できなかった孫さんは最終的に浦東新区の裁判所に起訴します。会社に2014年2月1日から2014年3月12日までの給与23,052.40元と労働契約違法解除の賠償金193,128元を要求しました。

【それぞれの主張】
会社
孫さんは真実の傷病休暇証明を提出していない。孫さんは2014年1月23日、すでにアメリカで出産を待っているはずだが、2月19日付けで上海の民営医院による「検査」の証明書を会社に提出している。距離の点からしてもありえない。元々、孫さんの母親はその医院で医師として働いており、彼女が同僚に傷病休暇証明を発行するように依頼していた。傷病休暇に記載された休暇期間は30日で、しかも患者がその場にいない。これはどちらも規程に符合せず、明らかに捏造であり、会社の規則制度に対する重大な違反である。
孫さん
上海市婦女権益保障法実施弁法』の関連規程に基づき、自分は本来産前休暇を申請できるが、人事部門の潘さんにより傷病休暇を申請するように指示されたために、本来問題とはならないはずの今回の事例が発生した。また、当時自分は既に出産間近であり、妊娠糖尿病も患っていた。そのような状況下では家族に代理で傷病休暇証明書を発行してもらうのは道理にかなっている。例え形式上に瑕疵があるとしても重大な規則違反にはあたらない。
潘さん
孫さんは「産前休暇を申請したわけでは無く、産前休暇の政策に関する質問をしただけであった」。孫さんの提出した通話の録音、電子メールは潘さんが傷病休暇として申請するように明確に指示したという証拠を示していない。孫さんが最後の傷病休暇証明を提出した際、代理発行に関する真実の状況を会社に告知することなく、その他の証拠による健康状況の報告も無かった。これは明らかに会社規則制度に対する違反であり、労働者が遵守するべき基本労働紀律要求にも違反している。

【結果】
裁判所による判決は以下の通りでした。労働契約法第四十二条の規程では、女性従業員が妊娠期、出産期、哺乳期にある場合、雇用単位は本法第四十条、第四十一条に基づいて労働契約を解除することはできないと定めている。しかしながら、孫さんの行った傷病休暇証明の代理発行は会社の労働紀律に違反しているだけでなく、労働者の基本的な信義原則にも違反しており、重大な規則違反と言える。会社は『労働契約法』第三十九条第二項、即ち「雇用単位の規則制度に対する重大な違反」があった場合、解雇することができ、これは違法ではない。それ故、孫さんが要求した労働契約の違法解除に対する賠償金の請求はこれを支持しない。(出典:労働報)

【解説】
 妊娠している女性従業員であっても傷病休暇証明は絶対ではありません。偽造や虚偽による申請はもとより、一般常識に反している場合裁判所も支持しません。コチがお受けしている傷病休暇に関するコンサルティングにおいても、妊娠した女性従業員の長期傷病休暇に関するものが大部分を占めています。詳しい事例をお知りになりたい、具体的なアドバイスを必要としているという人事担当者様、お気軽にご相談ください。

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