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2018年度の重点取組は人事改革“脱日系”の実行

     

ポロシャツ姿がトレードマークの異色のマネジメント西川さんは、17年間の米国駐在後、
横滑りで中国のマネジメントへ着任されて3年。業績を大きく伸ばし、社員さんからは
“今、仕事が面白くて仕方ない”という声が聞こえてくる西川さんにその秘訣を伺いました。
 

『ミッション、ビジョン、バリューをコアメンバーに策定させ、コミットさせる』

いつもありがとうございます。着実に業績を伸ばされていると聞いていますが、着任3年、力を入れて取り組んでこられたことは何ですか? photo-nishikawa
 
西川
(以下敬称略)
まず、ライセンスの制約が変わったこともあり、現地での営業を強化し、事業エリアを中国全土に拡大し、マーケットセグメントも非日系企業にも拡大、成長が期待できる業種を主要ターゲットとして攻略しています。サービス内容も設計と工事のみから、CM(施主側に立った工事管理のサービス)やエンジニアリング、各種コンサルタント業務へと拡大しました。赴任してから作成した2015年以降の中期計画では2017年に売上60憶円でしたが、昨年は80憶円と目標を上回ることが出来て、3年で売上は20倍になりました。
 
photo-hata それらの拡大を支えた秘策があるのでは?
   
西川 実は、コアメンバーに企業理念‐ミッション、ビジョン、コアバリュー‐を策定させました。ビジョンは2025年を目標に「未来を創造し、技術で中国社会に貢献する風雲児となる。そしてNo.1ブランドになる」です。
   
  自分達がコミットした目標ですから自分達で達成しなくてはならないということです。今後の市場変化に対応し、ビジョンを達成するための施策もコアメンバーに策定させ、推進準備に入っています。時間をかけていますが、メンバーからは多様な発想が繰り出され、活性化している実感があります。
   
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『人事は管理部門ではなく戦略部門』

     
企業理念のポスターの下半分に人事理念が大きく掲げられていることに驚きました。
   
西川 私は人事は管理部門ではなく戦略部門だと思っています。給与計算するのが仕事ではないですよ。人材を発掘し、リーダー人材を選定、育成、登用するのが仕事。その為に着任早々に人事制度を変えました。
自分自身が米国で運用していた職能別評価制度を調整・導入しました。報酬への反映の段階で、人事部門から外部コンサルティングを活用したいと申請があり、CoChiさんを起用し、業績反映型のメリハリの強い人事制度に修正しました。
私は個人のアカウンタビリティを明確にし、信賞必罰を徹底することが必要と考えています。
ただし場合によってはセカンドチャンスを与えて良いこともあると思います。
   
  人事理念をTeamwork Spirit(団体競技的文化)としています。
キーワードは;
「人を尊重し、家族(会社)を大切にする」
「自分に挑戦することが大好き」
「勝つこと(成果)にこだわる」
中国でも米国同様に、個人個人の個性を会社やチームの力として最大限に発揮させるためのマネジメントと企業文化醸成の両方が人事の要だと思います。
イメージ的にはプロサッカーチームを運営するようなものです。目的はチームが試合で勝利すること。監督も含め、試合で自分のプレーに100%の力を発揮する為、普段からプロ意識をもって切磋琢磨し準備する。試合では個人個人が100%の力を発揮してプレーし役割責任を果たし、他のメンバーのサポートも行う。チームの勝敗と役割責任を果たしたかで契約金額と契約期間を決める。みんなライバルだが尊敬し合っている。
尊敬し合っていれば成果主義でもぎすぎすしないはずですが、我社では、中国らしく儒教教室を開催するなどの試みも実行しています。
   
西川さん自身は異例の若さで現地法人総経理に就任されたと聞いていますが、リーダー育成に関して如何お考えですか?
   
西川 私の専門は技術系だったのですが、職種間異動の少ない鹿島では珍しく、入社当初から職種転換を何度も経験した後、入社10年目から米国に赴任して17年間、現場、支店で技術者として仕事をし、最後は副社長として米国本社で仕事をしました。
鹿島の米国法人は社員の95%が米国人で、お客様も70%が米国企業、業者もすべて米国企業、日系企業のお客様も現地化が進んでおられ、日系企業の特殊性はなく、全く米国会社でしたが、私は居心地良かったです。
米国の社会、会社では自分のポジションは自分で獲得するものです。年功序列で与えられるものではありません。
私自身はリーダー/マネジメント育成プログラムで育てられた経験はありませんが、マネジメントとは“企業理念や人事理念に従い、如何に人を動かすか”であるということを、数々の現場のプロジェクトマネジメントの経験から習得してきたと思っています。OJT以外にはセミナー等には積極的に自分で行って学んできました。
   
  現在中国法人では抜擢登用を現地発信で実行し始めています。その為の幹部育成は外部コンサルのプログラムを導入して推進しています。
   
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『中国に全く違和感は有りません』

これまでのお話を伺って、米国でのご経験の影響が大きいと感じますが、長年駐在された米国と中国とのギャップは如何でしょうか?
   
西川 本当は米国に残りたかったのですが、中国に赴任してみて、違和感は全くありませんでした。中国人の考え方は米国人に近いというのが持論です。
   
米国と中国は共通点の方が多い様な気がします。
日本の年功序列人事制度は米国や中国の様な流動的な雇用環境では「ぶら下がり」を多く作って、業績にも企業価値にも悪影響を与えるだけだというのが実感です。
「ぶら下がり」を作らない、業績評価に連動した賃金制度にするには、職務レベルごとにアカウンタビリティ-を明確にした業績評価システムが必要ですし、評価者のアカウンタビリティーに業績評価を含めることも必要です。当社ではコチさんの適切なコンサルを受けられたこともあって、無事に業績賃金制度に大半の社員の労働契約を変更することができました。「ぶら下がり」はすぐには減りませんが、もう増えることはありません。
   
また、日本では離職率が低いのが良い会社だという感覚ですが、米国の経験を通して、私は有能な人材への入れ替えが常に必要で、流動化率(離職率)を高めなくてはいけないという考えをもっていて、日本のマネジメントの方に違和感があります。色々な会社で勉強しないと実力は上がらないですよ。中国の建築業界も政府系の会社は別ですが、民営企業は流動率が高く、伸びているから有能な人がドンドン必要で、要らない人は切って入れ替える…ということが盛んに行われています。流動化率を高める場合、業務標準マニュアルの整備も必要になってきます。弊社も人事制度改革と同時に業務標準マニュアルを作成し、毎年改良しています。部署間の連携など改善課題に取り組んでいます。
   
日系企業の海外事業運営やグローバル化に関してはどうお考えですか?
   
西川 海外事業運営やグローバル化に関しては、
・現地法人に日本式の管理や技術を移植する。
・現地企業を買収や現地企業と合弁会社を設立する。
・パートナーやフランチャイズでネットワークを作る。
などの方法がありますが、業種と国、時代によって最適な方法が選ぶ必要があると考えます。
また、日本本社は海外に日本の支店を作るような感覚で海外事業運営やグローバル化を行っても成功しないと考えています。理由は、日系企業のリーダー達の多くが、変革を拒否する、世代や国籍を超えて人々を率いることを避けがちだからです。成功さえるには、日本本社や日系企業が海外事業運営をガバナンスし、海外事業を成功させる能力のある日本人以外のリーダーを多く採用することだと考えます。(ズバリ!言いますが…)
   
日本人リーダーを育成するには、若いうちから海外駐在を経験させること、しかも2カ国以上の駐在経験をさせることが早道だと考えます。海外駐在の弊害と言われる「技術力の低下」や「本社人脈の希薄化」など問題ではないと思います。
   

『2018年の重点取組…人事改革“脱日系”の実行』

最後に2018年の人事関連の重点取組についてお聞かせ下さい。 photo-kajima-2.jpg
オフィスに飾られたお客様の
キャラクターグッズや商品
   
西川 重点課題の一つは“脱日系”人事改革の実行です。
① 国際企業のリーダーの育成
② 国際企業の人事部門への改革
③ 国際企業の人事制度への改革です。
   
海外現地法人は、日本本社のグループ会社ではありますが、その国の独立した会社であり国際企業でなくはなりません。その為には“脱日系”がキーワードです。その実行の為に人事部を総経理の直轄部門として新設し、改革を実行します。
   
~インタビュアーより~
普段はポロシャツ姿ですが、スーツはラルフローレンのブラックレーベルしか着ないと仰る西川さん。インタビューを通して、明確な意思、メリハリの強さが伝わってきました。CoChiでは、会員企業様のサービスメニューに月1回の面談を明記していますが、用のある時に呼んで頂いているのが実態です。鹿島(中国)様は毎月、月次ミーティングを要請頂き、西川董事長の出席率はほぼ100%です。『人事は戦略部門』とのお考えに基づくものだったことを改めて認識した次第です。

>>談話室(会員ログイン必要)

 
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profile

profile 鹿島建設(中国)有限公司
董事長

西川 毅 さん

1985年、鹿島建設株式会社入社。国内にて電気、システム開発、土木、建築等多様な職種に約10年間従事した後、米国駐在。17年に渡る米国駐在期間には、多くのPJを指揮し、数々の表彰を受ける。米国本社副社長の後、2014年鹿島建設(中国)董事長 総経理として中国赴任。横浜国立大学工学部卒。
     
hata-interview インタビュアー:コチコンサルティング総経理 畑伴子(経歴紹介