□案件紹介
劉さんは2007年1月に上海ビジネスコンサルティング会社に入社しました。面接の際に劉さんは大学本科の学歴証書コピーを提出し、会社は特に異議を唱えませんでした。その後2年間、劉さんは優れた業績をあげ、会社トップからも認められるようになりました。ところが、2010年3月、会社人事部が従業員档案を整理している際に、劉さんの大学本科学歴証書が偽造ではないかという疑惑を発見し、会社が本人に証拠の提出を要求したところ、劉さんは面接の際に提出した学歴証書コピーが偽造であったことを認めました。会社は事実を把握した後、劉さんが「虚偽の応募資料を提出し、重大な規則違反を犯した」ことを理由として、劉さんとの労働契約を解除しました。

□申請者要求
劉さんは会社の処理に納得せず、労働争議仲裁委員会に労働争議を提起し、会社に労働関係の回復を要求しました。

□争議焦点
本案件の争議焦点は、従業員が学歴を偽造していた場合、企業は当然労働契約を解除することができるのか?という点です。

会社の主張:
劉さんは2007年の応募時に会社に偽造の大学本科学歴証書コピーを提出し、虚偽の応募資料により仕事を獲得した。これは「詐欺」行為と言える。劉さんは詐欺的手段により、会社に真実の意思に背いた状態で労働契約を締結させたため、この契約は無効とされる。それゆえ、会社が「虚偽の応募資料を提出し、重大な規則違反を犯した」ことを理由に劉さんとの労働契約を解除したことは不当ではない。
 
劉さんの主張:
会社ですでに2年余り勤務し、業績についても会社の評価を得ているのだから、2年前の応募時に虚偽資料を提出したという理由で現在の労働契約を解除することはできない。かつ、会社が採用面接を行った際に学歴が採用条件の一つであるとは明確に説明されなかった。それゆえ、会社が重大な規則違反を理由として労働契約を解除することは違法解除であり、労働関係の回復を要求する。

□裁判結果
  労働争議仲裁委員会は審理を経て以下の結論を下しました。
当事者は自らが提出した訴訟請求が事実に依拠する、あるいは相手の訴訟請求の依拠する事実に対する反駁について、証拠を提出し、証明する責任がある。当事者が事実であると主張することがらに関して証拠がない、あるいは証明が不足している場合、挙証責任を負う当事者が不利な結果を負う。同時に規則違反行為に相応の処理根拠がない場合、企業は同様に不利な結果を負わなければならない。会社は、劉さんに重大な規則違反行為があるとしたが、会社規則制度の中に「虚偽の応募資料を提出する」ことが重大な規則違反行為であるとは明確にされておらず、かつ劉さんの現在職位の採用条件にも短大以上の学歴のみを要求している。そのため、仲裁委員会は、会社の主張する規則違反行為について十分な証拠と証明が提出されておらず、相応の処理規定もないと認める。
最終裁決:会社は劉さんと労働関係を回復しなければならない。