□案件紹介
 劉さんは2012年8月13日某模型会社に就職しました。双方は3年間の労働契約を締結しましたが、その中で勤務場所については約定せず、実際の勤務地は北京市昌平区某村でした。2014年7月30日、模型会社のオフィス賃貸契約が満了し、契約を更新できず、付近で適当なオフィスを見つけることもできなかったため、最終的に河北省へ移転することになりました。模型会社は上述の状況を事前に劉さんに伝え、無料送迎バスや宿舎等を用意することを約束しました。ところが劉さんは新しい場所で労働契約を引き続き履行することに同意しなかったため、模型会社は双方の労働契約を解除し、法に従って労働契約解除時の経済補償金、及び労働契約事前解除のための解雇予告手当を支給しました。
ところが、劉さんはこの処理に満足せず、仲裁委員会に仲裁を申請しました。模型会社に違法労働契約解除における賠償金の支払いを要求したのです。裁判において、模型会社の主張は以下の通りです。オフィス所在地の変更は、会社オフィスの賃貸契約満了が原因であり、会社の都合による故意の移転ではなく、且つオフィス所在地の変更に関する補助措置も準備し、会社は従業員に無料送迎バス、宿舎等の条件を提供している。従業員が契約を履行するに当たって実質的な障害は存在しないはずである。それでも劉さんが労働契約履行地の変更に同意しないので、会社はやむを得ず劉さんとの労働家約を解除し、且つ法に従い労働契約解除における経済補償金、及び労働契約事前解除のための解雇予告手当を支給している。労働契約違法解除の賠償金支払に同意することはできない。

  □裁判結果
仲裁委員会は審理後、以下の判決を述べました。模型会社はオフィス賃貸契約の満了に伴い、オフィス所在地を北京市昌平区から河北省に移転した。劉さんとの労働契約解除については、「労働契約締結時に依拠した客観的状況に重大な変化が生じ、労働契約を継続履行することができず、雇用単位と労働者が協議を経ても労働契約内容変更協議に達しなかった」、という状況に当てはまり、『労働契約法』が規定する雇用単位が労働契約を解除することのできる状況に符合する。模型会社は既に劉さんの労働契約解除に関する経済補償金及び労働契約事前解除のための解雇予告手当を支給しており、劉さんの仲裁請求には事実根拠がない。そのため、彼の仲裁申請を棄却する。

  □弁護士論評
労働契約締結後、絶対に契約を変更できないわけではなく、法律は双方が協議一致を経れば労働契約を変更することができると規定しています。このほか、雇用単位に以下の状況が存在するとき、労働者の業務職位を変更する権利があります。1.労働者が業務職位の要求に堪えない場合、2.労働契約締結時に依拠していた客観的状況に重大な変化が生じ、労働契約を継続履行することができない場合、3.労働者が医療期間の満了後も元の業務に復帰することができない場合。オフィスの移転は「契約締結時に依拠した客観的状況の重大な変化」に符合しますので、これを理由に従業員が契約の継続履行を希望せず、労働契約の解除に至った場合、違法解除にはあたりません。        (出典 華律網)