top6
     
     
8月の弊社5周年記念セミナーのパネルディスカッションでは、“現場力”“見える化”の議論を頂き有難うございました。本日は、弊社の新企画 HR Café談話室のOpenにあたり、第一回目の談話室のお客様として、今年の“白玉蘭賞”受賞者、平澤様にご登場頂きたく、インタビューに参りました。談話室に立ち寄られる方々に元気が出るお話しを伺わせて頂きたいと思っています。
     

政治の方針を読み込んで、どちらに動くか理解していないと経済活動はできません。

     
まずは“白玉蘭”賞(*1)の受賞おめでとうございます。 hata-20161123-1
 
平澤
(以下敬称略)
ありがとうございます。9月7日に受賞式があって、国慶節前夜の9月30日に国慶節祝賀会に招待されて、韓正書記と握手してご挨拶するお役を頂きました。
 
韓正書記の在任期間、随分長いですね。
 
平澤 来年中央に行かれるかどうか。これまでをみても、上海の党書記のポジションは中央へ上る直前のポジションでした。
 
hata-20161123-1 私も20年近く中国ビジネスに関わっていますが、政治に関わる人事の動向などに疎くて、男性は詳しい方が多いなといつも感心しています。男性と女性の違いでしょうか。
   
平澤 中国は今、第13次5か年計画が遂行されていますが、今注目するのは『中国製造2025』(*2)でしょうか。越し方を振り返ると必ず経済計画は達成してきています。中国は市場経済と言いながらまだまだ社会主義(大きな政府)、計画経済の要素が強いですから。中国では、政治の方針を読み込んで、どちらに動くか理解していないと経済活動はできません。
   
平澤 ただ、これまでの製造・輸出型経済の時代には、財政出動で経済を誘導できましたが、これからの消費型経済の財政誘導は容易ではないと思います。決めるのは消費者ですから。『一帯一路』(*3)政策などには、内陸部に投資が必要ですから従来型の投資が必要な地域も残ってはいますが。
   
平澤さんは“中国語”出身ではなく、ラグビー出身(笑)ですが、お仕事人生はどっぷり中国の様ですね。
   
平澤 商社マンになるときに、「これから発展する国でビジネスをしたい」とは思っていましたが、中国との間で大きな仕事が出来てきたのは“縁”と感じています。
実は母は台湾育ちで台北一女(台湾高等女子)を卒業していて、台湾駐在時に、母と母校へ訪問し大歓迎を受けたことがあります。父は学徒出陣でシベリア抑留されたのですが、戦時中、大連で少し入院生活をしたことがあり、やはり私の大連駐在中に大連で病院跡を訪問しました。両親の人生に影響を与えた街に赴任することになったことは、中国との縁と感じています。
   

中国はメッシュを細かく、地域単位でビジネス展開しても十分勝ち組になれる国です。

     
中国はお好きですか? hirasawa-20161123-2
   
平澤 総論は中国好きですね!スケールと歴史が違います。
   
これまで、中国と仕事をするのには、最も面白い時期だったのでは?
   
平澤 いやいや、これからですよ!高度成長期の右肩上がりの時代には、だれでも容易に成功できます。ただ製品、サービスのライフサイクルが日本の寿命よりはるか短い事を見誤った場合は回収などで失敗することはありました。
ブラウン管なんかは、爆発的に売れましたが、アッと言う間に時代が変わりました。
   
私は電話交換機製造会社の進出支援をしたことが有りますが、電話交換機も寿命が短かったです。
   
平澤 ここから先が日本企業が本領を発揮する時代です。日本が得意とする“高品質”や“サービスの質の高さ”が求められる時代です。日本が持っているノウハウが必要になります。日本がこのマーケットに真剣に対峙してゆくのはこれからです。
   
  例えば、爆買いは「洗浄機付きトイレ」から「酵素」などの細かくて中国では出来ないものに買い物の対象がシフトしています。日本の不織布のマスクやおむつは、肌触りが全く違い一度使ったら止められないと言います。
   
hata-20161123-2 見識が広くていらっしゃる。。。
   
平澤 昔から商社は“カップラーメンから飛行機まで”と言われましたが、BtoBビジネスが基本です。これからの中国では、BtoCビジネスにも強くなる必要はあるかと思います。
中国のBtoC市場は、例えばウォルマートは全国展開し、売上は1兆円に届きませんが、湖南省の“歩歩高”や山東省の“家家悦”などは単一省のみで展開し、その売上規模は4,000億円~5,000億円に上ります。中国では省範囲だけで一国規模です。メッシュを細かく、地域単位でビジネス展開しても十分勝ち組になれる国です。
   
地方展開の場合、地域格差、地方条例の違いの大きさは課題になりませんか?
   
平澤 地方ごとに法規が異なるのはアメリカの州法と同様ですが、中国は国の法律がどんどん変わるが、実施細則(地方条例)がなかなか決まらないので、地方の役人の裁量権が大きくなるのが腐敗につながる構造です。
   
  ハードインフラの整備と法律、モラル、意識 等のソフトの整備がアンバランスな事が課題です。たとえば、高速道路が整備されても、配送計画が立てられず、配送効率が上がらないというようなことです。国営企業と合弁の物流会社の当初には、往路しか荷が無く、復路はドライバーが自分で荷を探して、料金をポケットに入れる仕組みで、荷が見つかるまでなかなか戻ってこない…なんて状況でした。
   
本当にそうですね。ハードとソフトのアンバランスは中国の発展過渡期の特徴と思います。おしり洗浄式トイレは装着されていても、使用済みPaperは流せないなんていう状況です。下水とPaperなどのインフラは“水洗トイレ”の標準まで届いていないなか、“おしり洗浄式トイレ”が急激に市場に参入している。
   
平澤 でも、中国の“ソフト”も確実に良くなっているようです。
先日、駅のセキュリティーラインで、私の後方で中国人の30代とおぼしき息子が、列を無視して割り込もうとする60代とおぼしき父親に「おやじ、チャンと並ぼうよ」と言ってました。荷物が重そうだったので、「好いよ!ここに入れよ」と言って私の前に入れてあげたら、息子が盛んに申訳ながっていました。以前は、上海でも、列に並ばないとか、お金を投
げるとかの行為に不愉快な思いをしてきましたが、確実に改善されていると実感し、うれしくなりました。
   
  実は、一つ、中国の“ソフト”改善のベンチマークにしていることがあります。
男性トイレの“進一歩 文明”(*4)が徹底されることです。わが社の男性トイレは文明化していますが、中国の男性トイレが気持ちよくなることは、ソフトインフラ改善のベンチマークと思い、その日が早く来ることを祈っています。
   
お隣(の男性トイレ)がそんな事情とは20年来知らずに過ごしていましたが、ぜひ、ベンチマークを達成したときには教えて下さい。
今日は昔の中国話がお聞きできるかと思っていましたが、中国はこれからこそ日系企業の出番!というロジカルに納得いくお話をお聞かせ頂け、元気を頂きました。ありがとうございました。
   
~インタビュアーより~
玉蘭賞を受賞された、いつも往年のラガーの活力を感じさせて下さる平澤様にCoChi HR Café 談話室インタビューの初回にあたって、元気の出るお話しを伺いたくインタビューをお願いし、大いに元気を頂きました。ぜひご一読下さい。
因みに、私は同世代。知識や経験の豊富さに圧倒され、日々をもっともっとしっかりと過ごさなくては!!と遅ればせながら心機一転した次第です。弊社では会員様の交流を目的として談話室を公開しております。会員の皆様、今回のインタビューに関する御感想などお聞かせいただければ幸いです。

>>談話室(会員ログイン必要)

 
shaze
 

profile

icache 株式会社丸紅 中国副総代表

平澤 順 さん

慶應義塾大学経済学部卒業。同年4月丸紅株式会社入社
入社後、一貫して開発建設分野に携わる一方、情報・金融・
不動産部門長代行時代は幅広いビジネス分野を管掌。
台北・福州に研修生として派遣されて以降、中国不動産開発
案件に取り組み、上海市と日本の合弁第一号案件である虹橋
ビラ開発案件(1985年~)、大連日中友好工業団地(1993年~)、
長春市初の日系デベロッパーである長春市領運房地産開発
有限公司(2013年~)をはじめ数々のプロジェクトに携わる他、
大連駐在等を通じ、中国を熟知する。2005年都市開発部長、
2011年開発建設事業部長、2013年情報・金融・不動産部門長
代行を経て、2014年4月より現職。本年度の上海市白玉蘭賞受賞。
     
*1)白玉蘭賞
上海市の社会的・経済的発展、文化交流に突出した貢献のあった外国人の専門家や学者、企業経営者を称えるため、上海市が市在住の外国人に授与する賞。(Wikipedia抜粋)
     
*2)中国製造2025
2015 年3 月に行われた全国人民代表大会において、李克強総理が「政府活動報告」で打ち出した、産業発展に関する新たな概念。
     
*3)一帯一路
中国西部から中央アジアを経由してヨーロッパにつながる「シルクロード経済ベルト」(「一帯」の意味)と、中国沿岸部から東南アジア、スリランカ、アラビア半島の沿岸部、アフリカ東岸を結ぶ「21世紀海上シルクロード」(「一路」の意味)の二つの地域で、インフラストラクチャー整備、貿易促進、資金の往来を促進しており、それぞれ2013年に習近平がカザフスタンのナザルバエフ大学とインドネシア議会で演説したものである。(Wikipedia抜粋)
     
*4)“文明化へ もう一歩前へ進みましょう”
     
hata-interview インタビュアー:コチコンサルティング総経理 畑伴子(経歴紹介