2011年2月1日、趙さんは某社の電気水道工事者として採用されましたが、入社時に会社と労働契約を締結しませんでした。2012年1月20日会社は趙さんに補って労働契約を締結する旨を通知しました。当日、趙さんは会社と労働契約を締結したのですが、その期間は2011年2月1日から2012年1月31日まででした。契約締結日は2012年1月20日であるべきですが、「当時会社は、締結の日付は入社日を記入しなければならないと私に告げ、理由も説明せず、署名をさせた。」と趙さんは言いました。1月31日に、趙さんは会社から、双方の労働契約が終了したため、会社は電気水道工事者として再契約しないという通知を受けました。その後、趙さんは現地の労働争議仲裁委員会に仲裁を申し立て、2011年3月1日から2012年1月20日までの労働契約を書面で締結していない期間について2倍の給与を支払うよう会社に要求しましたが、仲裁委員会から却下されました。その後趙さんは法廷に提訴しました。
しかし、法廷での審理の際に、会社は上述の労働契約を提出し、双方が自ら署名したものであると主張しました。趙さんはこの労働契約雇用企業によって脅迫された、あるいは重大な誤解のある状況で署名したものであるという有力な反証を提出することができませんでした。最終的に、法廷で趙さんの訴訟は却下されました。

労働契約の「補っての締結」と「遡っての締結」の区別と結果
「補って締結」とは、労働者と会社が事後に労働契約を締結することであり、契約開始日は、実際の契約開始日まで遡りますが、締結した日の日付を契約の締結日とします。「遡っての締結」も、労働者と会社が事後に労働契約を締結し、契約開始日は実際の契約開始日まで遡りますが、締結の日付は労働関係が確立されたその初日とするものです。このことからわかるように、「補っての締結」と「遡っての締結」の間の最大の違いは、契約締結の日付を、契約を実際に締結した日付とするか、実際に労働関係が確立された日とするかです。
会社と従業員が労働契約の「補っての締結」を行った後でも、契約締結前の期間について、企業は依然として2倍の賠償を行う責任があります。労働契約法の規定に基づき、会社は雇用した日から起算し、1か月以上1年未満の期間、労働者と書面による労働契約を締結していない場合、労働者に毎月2倍の給与を支払わなければなりません。当該規定は法律規定の強制要求であり、会社がこの責任から免れることはできません。1か月以上1年未満の書面による労働契約を締結していない従業員に対しては、後から補って契約の締結をした期間に含まれるか否かにかかわらず、労働者に2倍の給与を支払わなければなりません。
もし、「遡っての契約」が平等自主、協議一致に基づいて合意に達している場合、法律法規の規定に違反していない限り、労資双方が確立した労働関係の時間は真実の意思に基づき、労働契約は真実有効ということになります。労働者は契約期間期限について一種の認可をした、即ち労働者は2倍の給与差額を主張する権利を放棄したとみなされます。この場合、従業員が事後に2倍の給与を主張したとしても、法廷で支持を得ることはできません。

HR NAVI
上述の文章から見ると、労働契約の「遡っての契約」を行った後、会社は2倍の給与を賠償する責任を負う必要がなくなります。そのため、会社が従業員と直ちに労働契約締結を行っていない状況が発覚した場合、HRは補充措置を採り、速やかに従業員と協議一致するよう尽力し、従業員が真実の意思を表せる状況において、契約締結日として、労働契約を確立した日付を記載するようにするべきです。なぜならば、2倍の給与は懲罰性の賠償あり、会社が必ず従業員と労働契約を締結するよう督促するものだからです。会社に悪意を持って故意に労働契約を締結しないというというわけでなければ、HRは会社が2倍の給与を賠償するリスクを減少させることに尽力するべきです。
来源: 精锐律师网