20160405-3

 
 

最近、異文化研修講師の依頼を受けることが増えています。中国特有の文化である“関係(Guanxi)の理解のためによく使用する、私自身が体験した事例が下記です。

春節休暇直前のある朝、高額の人民元及び外貨、クレジットカードが入ったお財布がなくなっていることに気づいて慌てていると…タクシー会社から「何かなくしていませんか?」との電話が入りました。
前日の夜、タクシー代を支払った際にお財布をタクシーに落としてきた模様。領収書の宛名書き用にお財布に常備していた名刺を見て、タクシー会社からの連絡が入った次第。
社員にお財布を取りに行かせたところ、そっくりそのまま返却されました!

Q:さて、中国ではこの感謝の気持ちをどう表すのが最も効果的でしょうか?
① 紛失総額の10%を謝礼としてドライバーに渡す。
② タクシー会社に菓子折りを届ける。
③ ドライバーに感謝状を送る。
④ タクシー会社に感謝状を送る。
⑤ 新聞に“こんな良い会社がある!”と投書する。
⑥ 微信で“中国はすごい!”とつぶやく。

 
 

●回答は?
④です。実は、タクシー会社から「何も要らないから感謝状だけ送って欲しい」と言われました。
早々、ドライバー宛の感謝状をアシスタントに書いてもらいました。「運転手さんありがとう!…」。
これを見た中国人マネジャーが「違う違う!!」「こんな立派なドライバーを育てた領導(Lingdao)(≒指導者)はスゴイ!」と書かなくては意味がない…とのこと。

●そりゃそうだ!!
ドライバーさんは外国人の私にお礼を言われても、何のメリットもありません。
経営幹部から直属の上司まで、脈略とつながる利害関係の中で評価を得ることが、直近の春節前の賞与、春節後の紅包の多寡に大きく影響するというものでしょう!

●考えてみれば…
国営企業に勤務していた時、「お客様の為!」「会社の為!!」と提案や意見を申し述べる私に、中国人の同僚が、「自分を引き上げてくれる人に点数を稼がせることだけ考えて仕事をするのが国営企業流」と教えてくれました。

●こんな経験をしたにも関わらず…
今年もまたやってしまいました!宴会の翌日、“お財布がない!”と気付いたのとほぼ同時に携帯電話が震え「昨夜のUberだけど、お財布忘れたよね、どこに届ければよい?」とUber(ネット登録非専業送迎車配車サービス)のドライバーから直接連絡が入りました。

●中国独特の“関係(Guanxi)”はどう変形するのか??
Uberのドライバーは所属組織(単位)とは無関係に、直接顧客とのみ利害関係が発生するとなると、中国における“関係(Guanxi)”(≒戦略的相互利害扶助関係(畑定義))の介在余地はないこととなります。
中国4000年の歴史(?)で育まれてきた、特徴的な中国文化である“関係(Guanxi)”はICTが進化するなか、どう変形してゆくのか?
私は文化の特性は失われることなく、変形し存続するものではないかと思っていますが…。

20160405-2

1edited by 畑 伴子